英語ができる人はアタマが…

おなじみの美容室。髪のことならなんでもご存知の店長さんはプロ中のプロ。
 
そんな店長さんがふと言ったのです。
「冠木さん、通訳やってるんですよね。英語しゃべれるんですよね。すごいなあ。」
「え?」
「だって頭良いんだろうと思って。」
「ええ?」
「英語できるひとって頭いいんだろうと思って。俺頭悪いから英語しゃべれないしさ。」
 
えええ!
 
 
私おバカですってば。
 
カッコいい、きれい、面白い、そんなものばかり追いかけていた。お勉強だったら100語覚えるのもつらいでしょ?でも英語の讃美歌は美しかった。カーペンターズなんか100曲覚えて歌ってた。「いまを生きる」なんて映画まるごと頭に入ってしまった。
 
知的恋愛状態だった。
 
確かにそれだけじゃやっていけない時期もあった。でもおバカ時代のインプットが土台になって乗り越えた。  
 
たぶんそうやって自分の「狭き門」をひとりでくぐったんだと思う。 The road less travelledを進んだのだと思う。 そして、いつか人の役に立つようになったんだと思う。
 
店長さんは髪の道のおバカでセンスいいプロ。これも立派な狭き門。 たぶん職業は私より20年早くちゃんと選んでる。頼りになる。  
 
気になるのはね、「広き門」になっている英語。
ちょっとできると受験に有利とか海外勤務できるとか。
右見て左見て「みんながやっている」からやらなくちゃとか。
自分は楽して損したくないとか。 
 
これじゃいつまでも臆病者の群れの中だろうなあ。
他者の役には立てないだろうなあ。
いつまでもお金と時間が無駄だろうなあ。  
(カモにしようと思えば大トロ鴨よ、みんな)
 
あなたの狭き門は何?
  
狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。命にいたる門は狭く、その道は細い。そしてそれを見出す者が少ない。(マタイ 7:13)
 
 
あら、おバカの道とは書いていませんね…
 
こちら、いい年をしてリンカーンの「ゲティスバーグ演説」や、「外郎売の口上」を嬉々としてすらすら暗誦する愛すべきおバカさんのプロ集団です。
 
  やる前から「そんなの無理」なんていう自分の壁。すっかり崩落しています。
 
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留学は長い方がいい?短くてもいい?

「先生、大学の短期留学に行こうと思っていたんですけど、1年は行かないと意味がないって」
「誰に言われたの?」
「1年留学したひと。」
「意味がないってどういうこと?」
「さあ。」
 
あらららら。大丈夫?
 
結論から言います。
行けるときに、行ける期間で行ってごらん。
 
そりゃ学位をとるとなれば決まった期間もある。でもまだあなたはその段階じゃないでしょ。短いのも自由のうちよ。
 
語学力なら1年も留学しなくても十分伸ばせるし、10年いても立派なカタカナ語のひともいる。期間じゃなくて、理に適った努力の量。それに私には語学力より大事なことがある。
 
それは、ずっと留学生のテンションでいること。
 
25年前、イギリス、リーズ大学にて。課題を提出した日はおバカな弾けっぷりでした。呆れるウクライナ系アメリカ人の友人。
日本での暮らしは自動操縦、クルーズモードでできることも沢山。
 
海外にひとりで渡るとそれが激減。知らないこと、初めてのことだらけ。ひとつひとつが新鮮。頭だけ大人の赤ちゃんみたいになる。ひたすらひとつひとつ観察する。(ネット時代とはいえ、サイトの情報と自分で体験するのは大違い。)
 
周りの人たちはあなたという人を知らない。あるいは日本人ってこんなもの、と先入観やステレオタイプで見るかもしれない。だいたい、あなたがいなくてもその町は、大学は昨日まで成り立っていた。でも今日からあなたは一員になろうとする。
 
だから自分を言葉で語る。それを聴く人たちの言葉にならないしぐさ、表情をよく見る。通じてないな、思ったら言葉で確認する。
 
そんなトップギアな感覚になるのに3日あれば十分。
 
そして、その感覚を保つ。
 
そうすると気がつくんです。日本で日本人どうしで日本語で話す。通じているつもりでも実は通じていないこと相当ある!逆にガイジン同士で思いがけず気持ちが通じることも。国や言語より、人、心なんだよね。
 
クルーズモード使わないと「あたりまえ」が疑わしくなる。「なぜ」「それって変」「それが何なの?」をつい余分に言っているかも。まあ、それが取り柄ということで。

それにしてもあなた…自分の物差しを押しつける人の言うことを真に受けて悩んでていいの?そっちのほうが心配よ。

留学前にその免疫作っておいたら?

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「こう弾きたい」イメトレが空振りになるとき

「いつまでもまるで進歩しない」と家族にもバカにされていたバイオリン。
 
 
幼く聞こえるのは弓が安定しないのも一因。でも安定させようと心がけて練習しても一向に安定しない。
 
 
 それが、思いがけないことで突破口が開けました。
 
 
 「まだ弓の半分、3分の1の感覚が身体に入っていませんね。」
先生は弓に目印のシールをつけてくださいました。
 
こりゃ老眼には厳しい…
 
 
それからは弓を見ながらその目印で止まる開放弦の練習。
 
弾いては目印のところでピタリと止まる。目を閉じて弾いて、止まって、目を開ける。ずれていたら目を開けてやり直し。また目を閉じる。弓半分の練習、3分の1の練習。
 
 
えんえんと、これだけで30分なんてしょっちゅう。音楽でもなんでもありません。安定、不安定のことなんて忘れてます。
 
 
何が楽しいのかって?別に楽しいからやっていたわけではありません。
 
 
でも不思議と弾いていることを感じない感覚になってきたのです。瞑想もどきですね。
 
 
そして…
 
 
ん?
 
 
弓がぴたりと安定している。
 
 
それは不安定だったころには想像しようのない感覚。
 
この感覚を知らない自分が「あの感覚がほしい」と設定することは不可能。何がどうなって不安定だったものが安定したのか、頭で考えてもまだ追いつかない。身体は頭よりアタマがいいって本当。
 
 
語学も同じことですよ。
 
 
「できる前には『あれができるようになる』という目標設定をすることができません。『あれ』が身体実感として存在しないんですから。そのような部位があり、そのような働きをするとはかつて一度も思わなかった部位が、現に活発に働いているのを実感するときに、修業の意味は事後的・回顧的にわかります。ですから修業がもたらす成果を、修業開始に先立ってあらかじめ開示することは不可能なのです。」
 
(「修業論」内田樹著 光文社)
 
 
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「話し言葉で通訳してもいいんですね。」えっ?!

「通訳って話し言葉みたいに生き生き訳していいんですね。」
「???」
「ですます調で訳すものだと思っていました。」
「ああ、某公共放送のアナウンサーみたいに?」

あれは明治維新以降にこしらえた言語。音声由来の生命力は高くない。 通訳は音声言語を音声言語に再現する仕事です。音声は文字より格段に情報が豊か。しかもその情報は文字や理屈では追いつかない。音楽だから。

スピーカーが親しみをこめてカジュアルに話すなら、通訳も親しみをこめてカジュアルに。

ノーブルな雰囲気で上品に、なら通訳もそのように。

だから通訳者は抑えのきいた役者でいることが大切。

だって考えてみて。吉幾三さんがエジンバラでライブをやるとして、インタビューがキングス・イングリッシュで通訳されたら笑っちゃうでしょ。

しょうがいない?そんなことない。それは20世紀の諦めです。

文字化できない部分も音楽としてきちんと聞いて、わざとらしくならない程度に再生して。 なんでもかんでも公共放送アナウンサー調では、通訳が必要なことをせず、勝手に余計をしていることになる。

ウェールズ、ベスゲレアトの牧場は門の形も音楽。

本当はね、英日通訳、といういい方には違和感があるのです。

日本語にも、英語にもいろいろな方言がある。方言こそ心を伝える器、生き生きとした音楽。

標準語になると心のチャンネルが固く、細くなる。

だからヨークシャー弁・いわき弁専門通訳者、バーミンガム弁・相馬弁専門通訳者がいたら理想。地方と地方の心がいっきに通じ合う。

震災の後、メディアでは「がんばろう日本」って盛んに言っていたでしょ。でも福島の、私の友人たちの口から聞かれたことはなかった。町ののぼりでさえ「がんぱっぺいわき」。

中央の文字言語が地方の音声言語を塗りつぶしていくのは危うい時代ですよ。「進め一億火の玉だ。」「欲しがりません勝つまでは」訛っていないでしょ。

方言は、地に足をつけ、天を仰ぐ人たちの心の免疫くらいの大きな役割を果たしていると思うんですよ。 だから、通訳養成、地方の力にしたいのです。

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トランプ大統領でも言わないでしょう、「効力は今すぐだ」

トランプ大統領が9日にFBIのコミー長官を電撃更迭。コミー長官のロシアに関する調査の進め方に不都合を感じていた、というのが大方の憶測。

同じチョーカンでもこちらのチョーカンには「?」

5月11日朝日新聞の朝刊ではこのことを1面トップにとりあげているのですが…

「効力は今すぐだ」?

「効力は今すぐだ」?
なんだそりゃ。ずっこけた。解熱鎮痛剤の宣伝文句としても今一つしまらない。

「効力は」と結びつくのは「高い、低い」「効力を」なら「発揮する」とか。

だいたいこれは政治、法律の文脈。「効力」は意味が広すぎて脇が甘い。

きっとtake effect immediatelyあたりに手こずっているのだろうと思い、もとのトランプ大統領の手紙を確認しました。

あらまあ、さらにシンプル。effective immediatelyでした。「即刻発効。」
新聞の中見出しならひらがなを残して「今すぐ解任」「ただちに免職」もよいのでは?

ちょいと悪ノリしすぎかもしれませんが、こんな感じかな。

“I have accepted their recommendation and you are hereby terminated and removed from office, effective immediately.”
「私は彼ら(注:司法長官、副長官のこと)の勧めを聞き入れることにした。というわけで君は解任、免職。これ、即刻発効。」

中学生のみなさん、これをパクってパロディ作って楽しんでください。

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何が違う、ナフキン?ナプキン?

気になりだしたらとまらない。昨日たまたま電車の中から見かけたナフキン屋さんのビル看板と薬局のナプキン売り出しの広告。もう気になって気になって。

ナフキンといえば拭くための布、ナプキンは女性用の消耗品?

beautiful napkin ring!

調べてみると、ナフキンという外国語なんてない!!

ナプキンnapkinが正しいつづり。ラテン語mappa+kin(指小辞)で、「ぬのっこ」という意味。mappa(map, mopとも通じる)が転じてnapになるとは大胆な。

ふと麻布(まふ)と語源が通じるのでは、などと妄想。

どうもナフキンは布巾からの連想で「ぷ」のマルをとってしまったそう。

さすが、テーブルマナー教室のサイトではナフキンと表記しているところは見かけません。みなさん、ナプキンとちゃんとしていらっしゃる。

そういえば、20年くらい前はよく言われたもんです。「イギリスには日本のように使い勝手の良いナプキンはありません。サイズも巨大です。日本で買って持っていきなさい。」

実際はそんなことありません。ちゃんといいものあります。ただし、ナプキンとは呼びませんよ。…なんとsanitary towelというんです

イギリスのBoots、日本ではうまくいかなかったなあ…

タオル?とてもタオルには見えませんが?

おあとがよろしいようで。

こんなこと考えてる変人のプロフィールはこちらをクリック

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通訳学校ですぐに上手くなる人、ならない人は何が違う?

「あ、このままじゃこの人…」通訳学校のレッスンでクラスメートの訳文を聴くと一瞬でぴんときたものです。

え、何がって?

プロになれるか、なれないかです。

ああ、これでは難しい…と思う人の訳は、誰のどんなメッセージを訳しても、一本調子に生硬で単語おきかえ訳。そもそももとの英語は生硬でも聞きにくくもないわけだから、それでは通訳したことにならない。通訳者に生硬さと聞きにくさを加える権利はないのに。

あれ?ふだんの日本語のおしゃべりはそんなことないのに…。

ふだんの自分の日本語なんて仕事ではつかえない…?

それは由々しきことを承る。ただし、チャンスです。自分の日本語を育て直してください。

春の芽吹きは凍てつく冬に準備してこそ。スウェーデン、イエルナにて。

 

言葉は全員参加の文化遺産聖火リレー。ゼロから自分の言葉を作り上げていると思ったら大間違い。これまでの何百年の蓄積から借りて、新しい組み合わせを創って、これから来るひとたちに預ける。

今からでもよいものを拝借することです。永遠の流行を遠慮なく拝借することです。

自分の人生体験を超えた言葉の幅をもつためです。自分の人生体験=言葉の幅、では自分のことしか語れない。

仕事はまず他者のためにすることです。言葉の幅も他者の幅に合わせましょう。

普段からできることとして「永遠の流行」の暗誦をおすすめします。試験勉強としての暗記と芸としての暗誦を混同してはなりません。

ぐんぐんのびてプロ通訳になる人は、言葉の仕込みが違う。ただ瞬発的な思いつきだのみではありません。ひらめきは氷山の一角。とんでもない氷山を仕込んでいる。

通訳道場★横浜CATSでは全員「外郎売の口上」、英語のストーリーをいくつか暗誦します。

感覚が変わったとき、それまでの問題が消えているってよくあることです。

通訳道場★横浜CATS 第3期 スケジュールはこちら

 

 

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