「日常英会話くらいできるようになりたい」がダメな理由

エキスパート通訳トレーナーの冠木友紀子です。

「日常英会話くらいできるようになりたい。」そんな声を聞くたび、あーあ、と思います。それ、考え直した方がいいです。

理由は2つ。

1つめ。なんだ、その「ーくらい」っていうのは。学ぶ対象を見くびるとろくなことになりません。英語は音響・生理的にも日本語から遠い。甘く見るとみっともないことになります。

まあ、イギリス人がこぞって「日本語くらい話せなくっちゃ」と言い出したらちょっと感心しますが。

2つめ。日常なんてありません。毎日が新鮮で多様。

本当に共通する日常なんてわずか。そこはポケトークに任せればよろしい。あなたの日常は、他人にとってはシュールな非日常。他人の日常はあなたには非常識な非日常。ましてや、あなたとって「ちょっと変わったできごと」は他人にはもはや事件。

sliced boiled egg on white plate
Photo by Mona Sabha Cabrera on Pexels.com

たとえば…大学生からきいた「日常の小さなできごと」は…
「バイト先でお盆に飲み物を沢山のせてお客さんのところまで運んだはいいが、お客さんのひざ(lap)にぶちまけてしまった。店長が謝ってくれて、お客さんは怒らなかったけれど…」

(ええー!怒らなかった?お客さんは何をはいて帰ったの???)

自宅からオンラインの学生は…
「今、うちがひどい匂い。お昼に電子レンジでゆで卵を作ったらとてもおいしくて、もうひとつ作ろうとしたのだけれど、アルミを巻くのを忘れたら大爆発。硫黄温泉の匂いです。17時に母が帰ってくる前に掃除しないと。」

(電子レンジにアルミでゆでたまご????)

これ、すべて大学の授業のウォーミングアップできいたお話です。毎週毎週、こんなとんでもない日常を互いに聴いては日英通訳します。

衝撃のあまり通訳がなかなか始まらないことも…。

学生の通訳のあと、すべて私がモデル通訳します。それをみんな自主的にその場でリピーティング。メモ、録音してお土産にします。みんな真剣です。リアルな話題ですから。もう、ウォーミングアップだけでどんどん伸びるんです。90分こればっかりやっていたいくらいです。来年はそうしようかな?

さて、これのいったいどこが平穏な日常?!でも、平和そのものです。めいめいに変なことやれてますから。

私も帰路は衝撃的なお話を反芻しながら思い出し笑いしてます。たぶん、学生も授業の内容よりこっちのほうを覚えていることでしょう!

オトナの通訳道場では、ここまでぶっとんだ日常はまれです。でも、同じようにお互い通訳、すべてモデル通訳しています。

他人の日常にびっくりする、集中して通訳する。誰かにいいふらかしちゃう。これ、ボケ防止になりますよ、きっと。

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なぜコミュニケーション・スキル講座の日本語は不自然なのか?

こんにちは!エキスパート通訳トレーナーにしてシモヤケエキスパートの冠木友紀子です。

先日なんとなくTVをつけてみたら、コミュニケーションを円滑にする言葉づかいなるお勉強の最中でした。

「専門家」によると…「君、具合悪いよ。」と相手のことを決めつける(You messageあなたメッセージ)は相手の反感を煽りがちなので、自分の視点で語るように、とアドバイス。ごもっともです。

でも…「ねえ、私にはあなたが疲れているように見えるんだけど。」

この日本語にゲストがぴしゃり。「そんなこと言うかしら。」

ありゃまあ。

two women sitting on chairs beside window
Photo by Christina Morillo on Pexels.com

今日あるコミュニケーション技法の多くは英語圏由来のものです。

違和感を覚える人たちの中には「アメリカ人ならそういうかもしれないけど、日本じゃ変でしょ」と言う人もいます。文化の違いとし

確かにそういう傾向もあるでしょう!!

でも、私はもっと基本的なところに改善の余地があると思っています。

上の変な日本語、引っかかっているのは、こうでしょう?
1「わたし」「あなた」人称代名詞のうるささ
2「見えるんだ」の洋画字幕、吹替ぽい不自然さ。

もとの英語は大方こんな感じでは?
Hey, It seems to me that you are tired.あるいはYou seem tired to me.

だとしたら、書き言葉の英文和訳思い込みの残念な翻訳が足を引っ張っているだけです。

こうすると、楽で自然になりますよ。
★日本語では言わずもがなの代名詞は出さない。
★そもそも英日で品詞の概念が違います。英語の動詞を日本語の動詞に訳さなくてよし!

自然な日本語にするほど、日本語は「I」「You」のどちらかではないほうがしっくりきませんか?YouとIの間にそっと置くItはじまりがなじむのではないでしょうか。そして仮定、疑問や逆接もやわらかく使う。

「ねえ、なんか疲れてるかな、って思ったんだけど。」

まあ、それぞれの口になじむ日本語は、それぞれで探すものかもしれません。ただ、出だしでつまづくことが少しでも減れば、と願う次第です。

通訳・翻訳を目指す方は、英語ばかりでなく同等に日本語も精進してくださいね!

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冬季オリンピック、スピードスケートの「パシュート」って何語じゃ?

こんにちは。エキスパート通訳トレーナーの冠木友紀子です。
冬季北京オリンピック、楽しんでいますか?

どうも冬の競技は、危なくて見ていられないのと、何度見てもわけがわからないのが多いような気がするのは私だけでしょうか。

わけがわからないといえばカーリングとスピードスケートのパシュート。

パシュートって何?フランス語とドイツ語のミックスみたいだけれど…ははあ、中期フランス語、pour suite (追跡)を元にできた英語のpursuit でした。

んん? pursuitは「ぱしゅーと」とは発音しないけど…

みなさん、「ぱしゅーと」じゃ99.9%通じません。ここに発音記号を書いても大して面白くもないでしょうから、平仮名でいきます。

gray olympics concrete block
Photo by Anthony on Pexels.com

「ぷすぅー」のほうがよっぽど通じます。

いいですね、パシュートは英語で「ぷすぅ ー」ですよ。(なんのこっちゃ)

物知りの皆さんは、きっと「pursueの名詞形ですよね!」とじりじりしておいでのことでしょう。

ご明察のとおりです。pursueはラテン語のprosequi「あとについていく」に通じます。sequence, consequenceとも親戚(?)です。

さて、ここでもう一歩細かく調べましょう。

動詞pursueの名詞形がpursuitになったと言うけれど、それが「どこで」か考えましたか?イギリスでしょうか?

すでに答えは書いてあるようなものですが、ブー、違います。

ヨーロッパの西北の最果て、イングランドにpursueが達してから名詞化したとしたら、途中の皆さん(主にフランスさん)はいったい何をぼうっとしていたのでしょう。

ラテン語ははるかイタリア(ローマ帝国)を旅立ちイギリスに到達する前に、フランスですでに名詞に派生しているのです。イギリスは動詞、名詞、それぞれ「できあい」のものをフランスから受け入れているのです。

これってまるで「おかずと汁物」を届けてくれるお弁当宅配のようではありませんか。

福祉のお弁当宅配は1つの町を3つくらいの業者さんが分担していることもあります。だから、日替わりで和食、洋食、中華、汁物もいろいろ…と楽しめます。

さて、フランス語弁当いろんな時代に、あちこちからイギリスへ配達…イギリスは喜んだかもしれませんね。でも、日本人には…そう、派生語の語尾がいろいろありすぎるという不満の原因となります。

そりゃ、なんでもnessをつければいいなら楽だとは思いますよ。でもあまりにも変化に欠けるのはやりがいがなくて、不自由で、飽きますよ。毎日日の丸弁当のみだったらどうでしょう?

それじゃ飽きちゃう、という人はつべこべ言わず繰り返して身に着けることです。どの言語もあなたが生まれるよりはるか昔からあったんですから、あなたの都合でできているわけじゃありません。あなたの都合を超えたものを体得することで、あなたは成熟するんです。

外国語のこまやかさも繰り返して慣れれば愛着がわくもの。そして日本語のこまやかさに改めて興味がわくもの。

通訳を目指す方は、英語と同等に日本語も精進してくださいね!

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私達は日本語を知らない。

エキスパート通訳トレーナーの冠木友紀子です。関東では風の強い日が続きますが、いかがお過ごしですか?

どこを見てもカタカナだらけです。ソーシャルディスタンス、レジリエンス。アニマルウェルフェアなんて第五代将軍綱吉どのがたまげることでしょう。

戦時の敵国語排除に比べたら、カタカナだらけものんびりした話かもしれません。外来語を受け入れやすい言語は語彙が豊かになって生き残りやすいとも言われます。英語と日本語はことに外来語に鷹揚だと言われます。

ただ、英語がラテン語、ゲルマン諸語から外来語を受け入れるのは、おおざっぱに言えば、栃木弁に茨城弁、あるいは福島、山形あたりの語彙が入るくらいのもの。文字だって同じ。つづりを見れば語源も見当つきます。

日本語はこうはいきません。カンパニーとコンパニオンが「共にパンを食べる」という源を共にしているとはなかなか見抜けません。「同じ釜の飯を食べる」みたいな発想ね、と足元を振り返ることも容易ではありません。

ではしっかり日本語に訳しましょう!…実は、これがなかなか。

「対人距離」「復元力」「動物福祉」

無料自動翻訳でもこのくらいぱっと出てきます。でも、しっくりきますか?

大陸から学んだ漢字の恩恵ははかり知れません。ただ、特に明治以降、知的、学問的な翻訳は「西洋言語→漢字の熟語」に偏りすぎたのではないでしょうか。それがいまも、「頭に入っても腑に落ちない」翻訳、通訳を生み出し続けていると思うのです。

pixabayより

シュタイナーの思想(アントロポゾフィー)でも、こんな翻訳をよく目にします。「人間の頭部は球形をしていて…。」

おみごと、正しいです。間違っていません。

でもね、ニンゲンノトウブハキュウケイヲシテイテ…を、日本語は「あたま」で言いつくしているのではないでしょうか。

インドヨーロッパ諸語に比べて日本語の語源学は諸説あって迷宮のようですが…「あたま」は「たましい」が宿る球を「たま」と呼んだことに通じるようです。

ここまで考えると、翻訳って何やっているんだろうと思ってしまいます。でも、ここまで考えずに翻訳する能天気には戻れない、と思うのです。

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