通貨・数字の通訳はどうする?

「億単位の金額が飛び交うと…」(わあ、すごい)
「通貨の計算に戸惑います…」

無理しなさんな。そんなところでかっこつけても仕方がない。

ちょっと才走った通訳嬢がすらりと通訳したつもりで、そのあげく、あとで言った言わないのもめごとになるのが数字、金額。

社内ならまだしも、フリーランスが請け負ったクライアントの案件だったらひとたまりもありません。

F1レーサー、日光いろは坂のバス運転手さんを思いうかべてください。

プロは直線とカーブではスピードを変えるでしょ?

どこでもかまわずすっ飛ばすのがかっこいいと思っているのは自己中心的な初心者です。

私は、数字には通訳メモとは別に大きめのポストイットを使います。先方の現地価格、数量をメモ。これでいい?とメモを先方に確認。換算して日本側に伝えます。それを海外、日本側両者で確認。参加者のどなたかに協力をお願いして、いつの、何についてのメモなのかタイトルを書いていただきます。

みなさん、喜んで協力してくださいますよ。誰もが順調かつ正確なコミュニケーションを望んでいるんですから。それに、人に頼りにされるってうれしいでしょ?

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国産チーズパンフ英訳、翻訳の前に大事なこと

持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

自動翻訳もずいぶん精度が上がりました。それでも翻訳者がやらねばならないことが1つあります。

新しい読み手を想像することです。ゼロから書く心づもりでいることです。
(もちろん分野によります。自然科学論文、文芸作品はこの限りではありません。)

考えてみれば当たり前のことです。言語を変えるということは、異なる読者層を対象にするということです。

共働学舎の宮嶋さんからのご紹介で、チーズプロフェッショナル協さんの国産チーズパンフの英訳を担当したことがあります。共働学舎のチーズ大好きな私には願ってもないお話。大いに張り切りました。

もとのパンフはすみずみまで工夫が凝らされた素晴らしいものです。チーズになじみのない日本人に向けて、多種多様なナチュラルチーズの製法と楽しみ方を紹介。チーズの専門家、有名人のインタビュー記事は国産チーズに親しみを感じさせます。生産者のインタビューは情熱にあふれ、思わず応援したくなります。

さて、最初のご依頼は「全部英訳」

ん???

ここで新読者確認です。

英語はあまりに世界で広く使われすぎています。誰でも読めるけれど、誰も自分宛てと思わない可能性も大です。英訳の難しいところです。宛名のないラブレターになってはもったいない。

依頼主に確認したところ、主にヨーロッパとのことでした。

そうなると日本人向けの丁寧な説明部分はかえって冗長、不要となります。ヨーロッパのみなさんは先刻ご承知ですから。チーズの専門家、有名人のインタビュー記事もあまり意味をなしません。かえって生産者の声がかすんでしまいます。

優しいイラストからはもうチーズが薫るよう!

生産者の声にしぼることになり、英訳を始めると…今度は生産者の「日本人向け」のメッセージが気になりました。

「おいしさの感度って他国と日本は違います。日本人はきれいな味が好き。だから日本人シェフたちの意見を聞きながら僕は雑味のない味を目指してきました。」

ごもっともです。日本の地に足をつけた見事なお仕事。ヨーロッパ輸入チーズの強い風味が苦手なひとでもおいしく楽しめるのはこういうたゆまぬ努力あってこそです。

でも、ヨーロッパの人たちにはこう聞こえませんか?
「日本のおいしさの感度は特別です。日本人はきれいな味が好き。他国はきたない味でもいいみたいだけどね。だから日本人シェフの意見を聞きました。他国のシェフのアドバイスきくと雑味のあるものができちゃうかもしれないからね。」

大げさかもしれません。でも、この生産者の方はこんないやな意図で話したわけではありません。ならば誤解の芽はできるだけ摘んでおきたい。そこで、誤解の可能性について依頼主に連絡し次のような修整を打診しました。

「おいしさの感度って地域それぞれです。日本人はどうも繊細な風味が好き。(そうした味づくりに慣れた)日本のシェフたちに相談しました。おかげで気になるいやな雑味のない風味が生まれました。」

するとすぐに協会と広告会社で話し合いがもたれ、これで行こう、ということになりました。迅速かつ柔軟な対応はさすが、とありがたく思いました。

また、日本のチーズを喜んでもらえるのは、ヨーロッパでも多数派の風味がしっかりしたチーズが苦手な人たちだということも見えてきました。(ヨーロッパの友人にいます。気の毒…)

英文はこのとおりです。
“Taste preferences vary from country to country and region to region.Japanese people tend to prefer subtle, delicate flavors. To acheive such flavors without any unpleasant distraction, I consulted with servera Japanese chefs.”

将来、納豆のねばねばと苦さが嫌いな日本人のために、ヨーロッパからさらっとして臭くないナッツのようなフレーバーの納豆がやってきたら面白いですねえ。

翻訳は新しい読者を想定して、ゼロから書くつもりで。人間だもの。

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バレンタインは「〇理」チョコで

もうすぐバレンタインデー。すごいですね、スーパーもデパートも駅のコンコースも臨時チョコ出店だらけです。

日本のバレンタインデーの起源は神戸のモロゾフだ、いやちがう、とか、誤訳のせいだ、とか諸説ありますが、長いこと、女子から男子にチョコを贈るという世界でも珍しいイベントでした。義理チョコなんていうのもあったり。でも、このごろは自分で食べるために買う人も多いそうですね。

2月14日はカトリックでは恋人たちと結びつきのある日ですが、別に女子→男子ではありません。一説によると、ヴァレンタインデーの由来である司教ヴァレンティヌスはローマのクラウディウス帝に迫害されても棄教せず、妻帯を禁じられていたローマ軍の兵士たちに結婚式を執り行っていたそう。こりゃ、絞首刑にされますな。

イギリスのリーズ大学の女子寮では、お互いに日ごろの友情を感謝する手作りのカードを交換しあったものです。お菓子はナシ。私は筆ペン習字と折り紙で、お金かかりませんでした。

さて、チョコを贈るならこちら、ドイツのゲパ社がおすすめ。本命でも義理でも「倫理」にかなうチョコです。

はじまりは、一昨年、輸入代理店のおもちゃ箱さん主催のブランドセミナーでの出会いでした。インドネシア出身のブランドマネージャーさんのお話に耳を澄ませ、通訳しながら、感激してました。

製造のどの部分をとっても正真正銘、誠実、まっとう、倫理的なんです。

ゲパ社は契約カカオ農家が現地の理に適った無理のない方法で栽培できるよう支援。トラブルがあると契約を破棄、ではなく一緒に問題解決にあたります。フェアトレード以上の条件で取引をし、長期にわたる信頼関係を大切にしています。カカオのみでなく、ナッツ、フレーバーにも同じ行動基準を掲げています。略奪に依存する金儲けとは無縁です。

大地からも人からも略奪せず、お互いを友として長く大切にする。私はそんなゲパ社が大好きです。お金を使うことが、ただモノの入手だけでなく、どこか遠くの誰かの応援、幸せにつながる。うれしい買い物です。

おもちゃ箱さん ゲパ ページ

持続可能な未来のための通訳者 冠木友紀子のプロフィール

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地球が1年かけて再生できるエネルギー、今年はいつ使い切った?

こんにちは。持続可能な医療・農業・教育のための通訳者、冠木友紀子です。

さて、地球が1年かけて再生できるエネルギー、私たちは今年いつ使い切ったか知っていますか?

推計ですが、なんと世界全体で7月29日。

Global Footprint Networkより 

この日をアース・オーバーシュート・デイといいます。地球エネルギー使い切り日、とでもいいましょうか。

7月30日以降は将来の分を前借りしているのです。しかも今年ばかりではありません。1970年からずっと。あらっぽい計算ですが、もう10年先のエネルギーを使っているのではないでしょうか。使い込むほど地球の再生効率も下がるとしたらさらにまずいことです。

このことを教えて下さったのはドイツのユルゲンさんとケルスティンさんご夫妻。 先日おもちゃ箱さんのブランドセミナーで通訳をさせていただいたご縁です。

ケルスティンさんとユルゲンさん。ご創業の頃、日本はバブルに浮かれ…

お2人は30年余り前にドイツでソーダサン社を設立。環境破壊を少しでも食い止めるため、自然な洗剤づくりを続けています。

さて、通訳の仕事の8割は事前準備をして相手を知るべく努めること。今回も理念、社史、メディア露出、お客様の声、と十二分にリサーチしました。

そして当日を迎えると…ユルゲンさんがプレゼンで一層熱をこめるのは自社製品紹介よりも地球環境を語る時。
「みなさん、洗剤が生分解可能か気になさいますが、それは最後の一歩。そこに至るまでの原材料、調達方法、製法、働き方…すべてまっとうでなくては。今年、我々は地球が再生できる1年分のエネルギーを7月29日に使い切ってしまいました。ドイツなんかひどいものです。3月3日でした。日本のほうが少しましで3月29日。1970年からずっと次のお正月を待たずに使い切っているのです。こんな調子でよいわけがありません。なんとかしましょう。」

ソーダサンの製品を安くないという人もいます。でも、倹約、節約のつもりで安いものを買い、自分の手を荒し、環境を害し、子、孫の世代が困るとしたら…!

安いは高い、高いは安い。

ソーダサンを買うのは、ただ洗剤というモノを買うのではありません。環境、未来に対し倫理にかなった行動をとることでもあります。

きっとみなさんのご近所でも手に入ります。冬の手荒れに悩む前に、おもちゃ箱さんのサイトをご覧ください。

包装も再生プラスチック

持続可能な(土に還れる)エシカルビジネスのための通訳者・冠木友紀子のプロフィール

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「医療・農業・教育」を通訳するなんてブレている?

なぜ持続可能な「医療・農業・教育」を通訳するんですか?違う分野でしょう?通訳さんは文系、語学系でしょう?ブレブレじゃないですか?

おお、よくぞ訊いてくれました。この時代、そう思う方は多いようです。

小さい頃から田舎育ちの私には、なんとなく想像がついたのです。この3つは、かつて教会やお寺に司られ、緩やかに連携しながら、牽制し合っていたのだと。

子どもが具合を悪くすれば、まずたっぷり寝かせる。年よりは死期をさとり、身内の者を呼び寄せて辞世の感謝をする。症状が悪くなってからそれを叩く強い薬をのむのではなく、元気なうちから自己治癒力を励ます薬草茶を飲む。新鮮な野菜を安く買おうとするより、庭で野菜を育てる。子ども達は勉強で点数競争するのではなく、他者を手伝うために頭をひねる。いつも景色のどこかにお寺や修道院が見えている。

神の退却と共に、いまやこれら3つが不安を煽る金儲けの暴走エンジンとなり人としての倫を超えたと思う場面もしばしばです。

ただ、それぞれの領域が単体になって、単純化したかと思うとその逆で。異常に込み入って見えるのです。まるで干物の鯵をバラしたようです。だから近代医療、近代農業、近代教育はそれぞれ単体でひとつの領域に見えるのかもしれません。

でもオーガニックな医療・農業・教育は生きた鯵のよう。泳ぐ姿には波の動き、鯵の体感まで共感できるよう。共通点が多いのです。生命プロセスが透けて見えるのです。

生命プロセスを感じる。これぞリベラルアーツ。

そのことに、はじめて満面の笑みで共感してくださる方に出会えました。ドイツのバイオマスボイラー関連企業のCEOの方です。

ボイラーも生きものですね、プロセスがありますね、というとニッコリ。「いままで通訳者から聞いた中でもっとも○○なコメントだ。もう安心だ。」と。

よかった、よかった。

ところで、ブレているかどうかって、見る側の視点の深さ、視野の幅広さにもよりますよね。なので私は天智神明から見れば常にブレていると思っています。他人をブレているなんて上から目線で責めるつもりはありません。

持続可能な医療・農業・教育のための通訳者
冠木友紀子のプロフィール

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通訳者が展示会に出かける理由

お台場のビッグサイトで開かれているバイオマス展に行ってきました。商談アテンド通訳の仕事?いえいえ、違います。純粋にお客さんとして行ってきました。これも大事な通訳準備なんです。しかも今回はヨーロッパ視察旅行の旅の仲間も日本各地から再集結。現場をもつ専門家と展示会に行けるなんてとてもありがたいこと。

私が通訳者として展示会を重宝する理由は2つです。

バイオマス関連の資料をこんなに沢山入手!

まず、通訳を担当する専門分野、業界を一望できること。展示会には日本を中心に世界各地から第一線の企業が集まります。一社ずつ会社訪問したら旅行だけで大変なことになります。それが何百社と一堂に会して、しかも営業担当の方が控えていて、資料も無料でもらえるんです。

今回は専門家の方の見方を伺うこともできたので、とても勉強になりました。

もうひとつの理由は、通訳者の働く様子を見て、通訳道場で提供するサポートの参考にすること。

展示会での通訳は社員があたることが多いようです。なかには「スミスさんは~とおしゃっています。」と間接話法で話している方も。これはとても疲れます。でも社員として発言を求められる場合もあるので、I=私=自分を指す普段のモードでいないとまぎらわしいのでしょうね。ふむふむ…。そうだ、あれを作ってみよう。

別の展示会ではええっ、と思うこともありました。ドイツのとある企業は日本の通訳エージェントでドイツ語の通訳を手配していました。よし、通訳してもらう側の気分を味わってみようと通訳をお願いすると…楚々としたその女性は控えめに「私、この分野は専門ではないもので…」

専門分野を勉強していないと言うのです。準備が不十分かもしれない、ではなく準備していない、と言うのです。

だめだこりゃ。

依頼主の仕事に敬意と愛着、応援したい気持ちを抱いていれば、その専門分野を勉強せずにいられないと思うんですけどね。

仕事は他者のため、誰かを喜ばせるため。通訳者が学ぶのも他者のため。

いつか、おお、この人はすごい、弟子入りしたい、と思える通訳さんに出会いたいものです。

通訳道場★横浜CATS 第5期は5月から

 

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その日本語サイト、そのまま英語に翻訳してはもったいない

我が通訳道場のメンバーは、私が言うのもなんですが、優秀です。
私が仕事を回そうとする前に、もう周りから仕事が降ってきているようで。きっと周囲の方にプロの通訳・翻訳スキルを身につけるのを望まれていたのでしょうね。本当に嬉しい、ありがたいことです。

でも、私が「その仕事、いったんストップ!」と言うこともあるんです。

たとえば、ご友人の和菓子屋さんのサイトの英訳を頼まれたというケース。

予算もスケジュールもまったく問題ありません。

でも、既存の日本語サイトをそのまま英語にしたら、ほぼ無駄になる。

そりゃそうです。

pixabayの写真です

だって、考えてもみてください。

日本語サイトは日本人客、それも地元の人たちを対象にしています。町内会や学校のご祝儀引き出物プランまであります。

それをそのまま英語で読むのって誰?

英語情報を読むのは誰?

このお店の場合、インバウンドのお客様の中でも日本の伝統文化に関心のある中高年がメイン。できればお店が主催している英語の茶会や和菓子作りの会にも脚を伸ばしてほしいと願っていました。

日本語情報を読む人と、英語情報を読む人は違うんです。だから必要な除法も違う。両方読んでるひまな人はまずいません。徹底的に相手に合わせて練り直すことをおすすめします。

たとえば、お菓子の由来、原材料(和菓子の鮮やかさがすべてケミカルと勘違いする人もいますよ!)、そのお菓子をいただく風習、季節感、日持ちなどなど。
お菓子の名前の英訳なんて面白いでしょうね!落雁、練り切り、すあま…すあまって何者?

私なら、まず一度お店にヒアリングに伺ったうえで、日本語サイトも参考にしながら、読む人を想像して別に書きます。

昔は翻訳といえば文芸作品が多く、「そのまま訳す」が普通でした。

でも、今は時代が変わりました。ジャンルもメディアも増えました。
変わらないのは「受けとる相手を想うこと」。

それをしないで言葉の置き換えだけするなら、AIで結構。

人間らしい仕事には想像力、マーケティング感覚をお忘れなく。

↓日英翻訳でてんやわんやしています
通訳道場★横浜CATS

 

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「和風」な表現もさらっとキメる日英通訳のコツ

通訳道場★横浜CATSにはすでに社内通訳をつとめている方が何人も。とても面白い、はっとするような問いをお土産にいただくこともしばしば。

「商談がうまくいってほっとしたんですけど、取引先の方が念押しのつもりか『沈没するときは一緒ですよ』って言ったんです。日本らしいちょっと悲壮な表現だとは思うのですが、そのまま英訳したら変ですよね。」

そう、字面通り言葉を英語に置き換えると…「えー!そんな危なっかしいところに来ちゃったのか…。味方すると言っているのにこっちも信頼されていないなあ」と思われるかも。

さて、皆さんならどうします?

まあ、CATSの皆さん、アイデアが出ること出ること。 あえてあまりよろしくない例を。

‘Let’s succeed together! ‘
ん?それどこから出てきたの?離れすぎ。ポジティブすぎるとお調子者に聞こえるよ。

‘Let’s do our best so that we may not drown.’
前後の組み合わせが滑稽。ベストを尽くすというのに溺れなければOKなんて…

あのね、取引先の方が使った言葉から目を離さないで。「沈没するときは一緒ですよ」の水面下に耳をすませるの。つまり何が言いたいの?

①沈没する=難しい局面もあるだろう。
②一緒ですよ=見捨てないでほしい.

これをご本人が使った舟の比喩に戻す。これがポイント。離れない。
… たとえば ‘Please do not leave us in a sinking boat.’はどう?アメリカの営業マンさんも答えやすいのでは。

今回のような表現を日本独特の文化と考えることもできる。でも…私はあまりそうしない。文化は日本のなかでも相当差があるから。文化という印籠が出てくると自由に動ける余地を見失うから。

それにひとりひとりがひとつの文化。もとの言葉に耳をすませたほうがシンプルで通じるメッセージになりそうですよ。

言葉の学びは一生もの。一生未完成でいい。だから楽しい。
7月から一緒に学ぶ仲間を待っています。
通訳道場★横浜CATS 第3期 申し込み受付中

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仕事の英語がもう少しできたらいいのに、という方に

「仕事でもう少し英語ができたほうがいいと思って、スクールを150分週2回に増やしたんですが、どうも…」
―レッスンとレッスンの間の自習は…?
「いえ…忙しくてとてもとても。」
―じゃあ、英語を話すとき頭の中で英作文してるでしょ。
「はい。」

それだと半永久的に今のレベルでしょうね。目的が読む、書く、話すのどれであれ、まず「頭の中で英作文」レベルを脱しましょう。

そのためには「英語の耳」をつくること。

「耳ができている」とは英語という音楽のリズム、ビート、メロディーラインを獲得していること。これを抜かして話す練習をしても聴き手に負担をかける品性の劣る話し方になるばかりです。

耳をつくるためには3か月くらいのうちに100時間、ネイティブが自然に話している音声を聴くこと。週末を抜かして平日190分くらいでしょうか。

このシリーズ、価格の10倍の価値を認めます!

おすすめは朝日出版の100万語聴破シリーズ。たった1300円足らずで自然な語りの音声(音読=文字読み上げ、ではない)、対訳テキストがついています。英語と米語は音楽的には別の言語ですから、どちらか決めるといいですよ。私はイギリスのRP(標準発音)を選んでいます。その理由は次稿にて。

「耳ができた」しるしは

  • はじめて読む文章でも頭の中のネイティブさんが読み上げてくれる。
  • 息遣いから文の長さの予測がつく。
  • 語り手の感情が感じられる。

日本語でのコミュニケーションでは自然にやっていることですね。昔、留学した人が「しばらくすると急に聞こえるようになった」と言っていた、あの感覚です。今は留学しなくても十分できます。こうなると楽です。というよりこの感覚なしで学ぶほうがよほど無理です。相変わらずあちこちでやっていますけどね。

この状態で脳トポグラフィーを撮ると、言語野に英語担当の中枢を分化しています。因果関係か相関関係かは不明です。ただ、言えるのは「人間は異質なものを受け入れることで仕事効率が上がる」ということです。だって、それまで言語中枢全体で日本語を処理していたのに、半分ずつ日本語、英語にわかれても難なく同じかそれ以上の処理ができるのですから。

気をつけるのは、同時に文字を読まないこと。内容が気になるなら事前に読んでおいてください。現代人は目ばかり頼りにする傾向があるので、耳が負けてしまいます。

今までのレッスンではひと月400分、3か月で20時間。これではいつまでも感覚は変わらないと思いますよ。

自分と向き合って、毎日少しずつ積み重ねたことだけが身につく。レッスンは発表の場として利用しましょう。

楽器のレッスンを考えてみて。うまくならないからって家で練習せずに先生のところに通う回数を増やしますか?それを歓迎する先生はなかなか腹黒ですなあ。さて、英語の世界はどうでしょう。

なに?!自習はやっぱり無理?通勤やお風呂の時間を使いたくない?

じゃあ、話せるようになるためにお金と時間を両方使うより、プロの通翻訳者にお金だけ使って時間を買い戻すことをおすすめします。餅は餅屋。いまはみんなが英語餅屋になろうとしてる。正直、もったいないと思ってます。

【お知らせ】
それでもやりたいという方に、上のセオリーを実践するシステムをまもなくご案内いたします。お知らせご希望の方はこちらからどうぞ。来年春にはイギリスのストーリーテリングフェスティバルに一緒に参加しましょうよ。

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日本のビジネスと米国の反知性主義と

ここのところミッションだ、ビジョンだ、と書いています。でも、ビジネスマンもキリスト教で言葉の由来をちゃんと勉強しましょうね、なーんてちーっとも思っちゃちゃおりません!!

知りたかったことはたったひとつ。

日本語でビジネスの話をしていると、キリスト教っぽいカタカナがどんどん出てくる。そりゃ仕事と生きることを真剣に考えるのは大事。でもすごいスピードで無邪気に心の領域に踏み込んでくる人がやたら多い。なんなんだ、それ。だいたい「あなたはお金に関するメンタルブロックを解除しなくちゃね」のような言い方をする。自分が相手を誤解しているのでは、という疑いの余地はどうもあまりないらしい。もちろんカチンと来る。それこそMind your own business.

でも個人どうしの性格、相性の問題ではない匂いがしていました。だって皆さん、ものの言い方があまりに似ている。

だからもっと大きな社会的、歴史的背景がある気がしてならなかったのです。その手掛かりが得られれば個人どうしの問題にしなくてすむ。

あれ?そういえばヨーロッパの人たちはそんなこと言わないなあ…むむむ、やっぱり。

この本を読んでわけがわかりました。お久しぶり、森本先生、これ面白かった!帯は大げさで外れだと思いますけどね。

ICU副学長の森本Henry先生の近著。

反知性主義といっても決しておバカでよいなどという意味ではありません。

確かにこの頃日本では反知性主義という言葉を「まともに考えない。知的でない」というニュアンスで使うことがあります。でもアメリカではちょっと違います。anti intellectualismはインテリと権力の癒着への抵抗をあらわします。まったくもってごもっとも。

ここでインテリというのは科学者や哲学者ではなく教会制度に属する牧師のこと。ヨーロッパで教会は政治権力と結びついて、国費、税金で支えられていました。いいご身分だけれど仲間入りするにはインテリでないと。それでいて下々には「この世は辛いもの。あの世で幸せになるには信心を」と教えていたのですからたいしたもんだ。坊主丸儲け。

それを疑問視する人たちがアメリカではインテリ「牧師」ではなく「伝道者=エヴァンジェリスト」(巡回セールスマンの原型)として活躍。アメリカの教会はあの世だけじゃなくこの世の幸せにも肯定的。本当は不安だらけの成功者たちの心の支えにもなりました。

大いに結構。ただ…それが高じてアメリカはポジティブ病に(大雑把ですみません)。

実は追いつめられて拒食症になっていた高校生の頃、ノーマン・ピールというアメリカの伝道者の本を読みました。ちょっと励まされた。でもあまりにポジティブ、自分中心で、私は相当参っていたのに、なんじゃこりゃ、冷戦と軍拡の80年代にはもう合わないぞと感じていました。なるほど、第二次大戦が終わってまもなくの著作。ところが21世紀の今でもアメリカには彼の影響を受けた輪をかけてポジティブな自己啓発が山ほど。

下山の思想とか「?」なんでそうね。ご苦労様、自己啓発はきりがないよ。特に最新の脳科学なんて言い出すと。ああ、きりながいからいいのか。私は乗る気がしないなあ、悪しからず。

まあとにかく、アメリカでは教会が政治権力を離れ、ビジネスに近づいた。ビジネスは教会の言葉を借りて心の領域に近づいた。それ自体別に良くも悪くもない、ヨーロッパにはない試みです。その残響を日本のビジネス用語の中に聴いていたようです。

ちょっとすっきり。ちょっとだけどね。

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