気の毒なイヌノフグリにすてきな学名

幼いころから祖母、母と野山を歩いて育った私は、山野草の名前を知るのが楽しみでした。なかには日本と海外ではまるで違う意味の名前がついていて、視点の違いに驚くこともあります。ついつい誰かに話したくなります。

我ながら日本側の視点が「?」だったのがオオイヌノフグリ。初めて国語辞典なるものを手にし、オオイヌノフグリを引いたときの衝撃は忘れられません。どうしてあの愛らしい花がそう見えるのかびっくりしました。股間を凝視されていぶかしげに振り返る愛犬の顔も忘れられません。彼は小型犬でしたが。

まさか、海外でもそんな…

ええ、まさかdog testicleなんかじゃありません。

オオイヌノフグリはBuxbaum Speedwellのようです。Speedwellの語源は、speedのゲルマン祖語で「栄える、成功する」、wellは「十分に、たっぷりと」ですから、あっという間に繁茂する様子にぴったりです。

昔の人たちが、私たちと似たような景色を見ていたことを言葉で辿れるってちょっと面白いと思いませんか?

さて、このspeedwellのみなさんをまとめてveronica属といいます。このヴェロニカは、イエス・キリストが哀しみの道を十字架を背負ってゴルゴダに向かっていたときに、顔に流れる汗と血をぬぐう布を差し出したあのヴェロニカと言われています。(ジョルジュ・ルオーの絵、「聖骸布」が有名ですね。)

道端の野次馬群衆がイエスに罵り声をあげる中、手ぬぐいを差し出すのは真心ぶれない人ではないでしょうか。ヴェロニカ属の花ことばはfidelity「信」「まこと」「忠誠」「貞節」などです。

ヴェロニカ、信が「犬の…」とは。

こちらの写真は拙宅の庭に咲いているイヌノフグリ(花は赤紫)とタチイヌノフグリです。なんでもこれらのほうが日本には多かったのに、明治以降オオイヌノフグリが海外から入って来て優勢になったそう。

昨年来、芝生の「雑草とり」を極力やめて、5センチ刈りにしました。むろん除草剤は使いません。そうしたら、こんなふうに昔、野原で見かけた小さくて丈夫な草花が顔を出すようになりました。

道端でイヌフグリを見かけたら、Speedwell, Veronica, Fidelityを思い出してくださいまし。

持続可能な社会のための通訳者 冠木友紀子 プロフィール

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敵などいない

なんであの程度のものが売れるんだ!
なんであんなものが常識としてまかり通っているんだ!

ホリスティックな医療や教育、オーガニック農業の仲間の
友からたびたび聞かれる悔しい思い。

自社の一時的利益最大化を求めて投入収奪の効率化を極めた多国籍大企業を見れば、そんなためいきもごもっとも。

でもね、彼らを敵視してはいけません。それは彼らではなく自分に負けるだけ。

それより、今日、すでに友である人を見出すこと。明日味方になってくれる人と連絡をとること。「一味」を少しずつ育てるしかないんです。それには時間がかかる。だから、今すぐはじめてまめに続けるしかない。

他者を非難しているひまはない。

私も以前はM社はとんでもない!と思っていました。今も思っています。でも…

あるとき、別のD社の副社長のJ女史の通訳を頼まれました。消費者と加工者のコミュニケーションを改善して食品安全技術への信頼を高め、食品の無駄をなくそう、というお話です。

Jさんはオードリー・ヘプバーンを成熟させたような可愛らしい方。昼食から講演会場への移動の道中も植物観察。道端のナガミヒナゲシやホトケノザに手をのばし、「なんてかわいらしい!まあ、ポピーに小さな仏様?日本の野の花は品がいいわ」と立ち止まってはため息をつかれました。

このJさん、M社の幹部として長く務められたとのこと。その頃のことを伺うと、遠くを見るような眼差しでなつかしそうに「人類と食糧のために尽くした」日々を語ってくれました。

いまでも私はM社には賛成できません。でもJさんのような個人の働きを否定しても仕方がない。

徒党を組んでM社に直談判?

それにも私は興味がないんです。

誰か、何かを「敵」と見なして否定、非難すること自体、自分を正義としたい自分に負けていると思うのです。愛をもって相手をいさめているのでもなければ。

でもね、私の常時品切れ気味の愛情は、まず友に捧げたいと思うのです。

原発を製造していたGE社も再生可能エネルギーに取り組む時代です。敵と味方の線引きはできません。友を大切にしよう。それだけです。

持続可能な医療・農業・教育のための通訳者 冠木友紀子プロフィール

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