いったいどうなる?2020年大学入試、民間英語試験導入。

2020年大学入試、民間英語試験導入のはずが、 高校生にも、高校の校長先生にも延期を望まれるという異常事態。

実は10年ほど前、大学入試センターの通訳をしていたことがあります。

その頃、政治主導で共通テストの複数回化が唱えられていました。けれどセンターの現場、専門家には根強い疑問が。「たった1回のセンター試験で出されるたった1問を作るのに数百問を検討して、年1回の試験にやっと間に合わせているのに、どうして何回もできるものか!」ある先生は「床屋談義もいいかげんにしろ」と呆れていたほどです。

それで、民間試験。

もう、やめちゃえ!

民間英語試験を?

いえいえ、入試英語そのものを。私は外国語を入試科目にすること自体反対です。

皆さん、思い出してみてください。

ピアノでもギターでも茶道でも、なにがしか身についたとき、それに夢中だったのではありませんか?恋愛状態だったのでは?だから、多少の困難、苦労も乗り越えられたのでしょう?

恋愛は個別のものです。

他人から見たら野暮ったいブ男でも、夢中になっている本人には世界のすべて。他人にとっては平凡でも本人には特別。

外国語の学びも似ています。

他の科目、たとえば母語の言語スキルや社会科学、自然科学の学びは社会の一員としての共通の基本。個人の好みはそれほど問題になりません。

それに比べて外国語は個性豊か。地域色、音楽性が同じ言語は2つとありません。

ドイツ語に夢中になる人もいれば、あんなカタイのはいやだ、という人もいる。イタリア語と恋に落ちる人もいれば、あんなに明るいのはついていけない、という人もいる。

英語の楽しさを伝えたい、というハシャイだ先生もいるからね。イタリア語はもっと楽しいかもよ。ドイツ語の方が楽しい律儀な人だっているのです。

英語を全員で好きになるなんて気持ち悪い。

全員で英語を学ぶのが無理なのです。全員でやらなくていいのです。

できないと困る?そんなことありません。
困りそうになったら人間本気出します。間に合います。
台所の消火器じゃないんだから、わけもなく用意しておく必要はありません。

多くの教科書に見られる、地域色を薄めた「国際語」としての「英語」にはもともとの言語の色気がありません。

さて、どうするか。

中高生諸君、他の外国語に浮気しなさい。自分だけの恋人を見つけなさい。

学校の英語の先生には、実は大学の専門はモンゴル、トルコ、中国と別の外国語だった方も少なくありません。ぜひ、そのお話が聞けますように。

中国、フランス、インドネシア、いまはネットでいくらでも聴けます。たとえばこれはフランスのテレビ。

これ好き!と思えるのをイチからこっそり学んだら、学校の英語がラクに思えます。 私も中3のとき、友達とドイツ語学習会をはじめました。すぐ頓挫しましたが、後悔はしていません。

ドイツ語祭り続行中!持続可能な社会のための通訳者 冠木友紀子のプロフィール

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果実はいつ生まれる?!シュタイナー「魂のこよみ」に??

今週もうんうんうなって日曜、つまり次週となってしまいました。。

これも広がりと深み、空間と時間、世界と人間…なんと次元と構造の整った詩だろうと思って感心して読み進むと、なんでしょ、これ。

果実に誕生させる?!Um Früchte zu entbinden,

Ruth and Hans Puschによる 英語版も To bring to birth the fruits 果実に誕生をもたらす、とあります。

え?果実に誕生?それっていつのことかしら。うちのゴーヤも小指の先ほどのゴーヤの胎児みたいなのから、へちまと見まがう大将まで同時にぶらさがってる。そういえば、実っていることに気づかないで、大きくなってから見つけてびっくりすることもあるけれど… ん?いつ生まれてるの?実の中の種が芽を出すこと?むむむ。

そういえば、人間も「誕生日」というけれど、その日に人間のすべてが生まれるわけではないなあ。

今時分の果実と言えば、これだっぺ。

それにしても果実と誕生ってコロケーションがおもしろい。もちろん、ドイツ語でも、英語でもそうでしょう。それで、新しい概念、見逃していた一面が認識されるのかもしれません。

ああ、もうひとつ悩ましいのはWelten。宇宙と世界を両方含む大きな表現はないものでしょうか。仏教の日本語をもっと知りたいなあ。

 
Das Licht aus Weltenweiten,
Im Innern lebt es kräftig fort:
Es wird zum Seelenlichte
Und leuchtet in die Geistestiefen,
Um Früchte zu entbinden,
Die Menschenselbst aus Weltenselbst
Im Zeitenlaufe reifen lassen.
遥かなる宇宙からの光は
心のうちに力強く輝き続ける
それは魂の光となり
精神の深みを照らす
実りがあらわになるよう
宇宙の自己より来る人間の自己が
時の流れのなかで熟れゆくように。
英語版は言葉が多くてなんだか野暮ったい、と思っていたのですが、先日新発見。
森省吾さんのアドバイスから、英語はアイアンビックを保つという工夫をしていることを知りました。

Have a good week.

ドイツ語祭り中の通訳者、冠木友紀子のプロフィール

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気になる洋楽歌詞和訳【On My Way】 by Alan Walker, Sabrina Carpenter & Farruko

通訳道場の悦子さんにすごい人のことを教えてもらいました。

アラン・ウォーカーという音楽プロデューサーです。
いや、この人すごい。
10代の頃からPCで楽曲制作、どんどんYouTubeに上げて、あっというまに大ヒットメーカー。それでもいつもパーカかぶって顔をかくしているとか…。ソニーの公式ページによるとまだ21歳ですって?

ITを駆使した時代の寵児、天才です。

なんでも、アラン・ウォーカーAlan Walkerとサブリナ・カーペンターSabrina Carpenter、ファルッコFarrukoがコラボした楽曲『オン・マイ・ウェイ On My Way』が気になって、検索してみたら腑に落ちない和訳が目についたのだそう。

私も調べてみました。

いやあ、ネットのおかげで誰でも発信できるようになりました。

アラン・ウォーカーのような才能が世に出るのと同様、
いまいちな情報も出まくりです。

すべて注釈を入れるのはご容赦願いまして、気になるところだけ…

I’m sorry but 
Don’t wanna talk
I need a moment before i go
It`s nothing personal①

I draw the blinds
They don’t need to see me cry
Cause even when they understand
They don’t understand

So then when I’m finished
I’m all ‘bout my business
And ready to save the world
I’m takin my misery②
Make it my bitch③
Can’t be everyone’s favourite girl

So, take aim and fire away④
I’ve never been so wide awake⑤
No, nobody but me can keep me safe
And I’m on my way
The blood moon is on the rise⑥
The fire burning in my eyes
No, nobody but me can keep me safe
And I’m on my way

すまないけれど
話したくない
少し時間を、発つ前に
悪気はないの

ブラインド降ろす
あの人ら、私の涙見なくていい
だって、わかってるつもりで
わかってない

だから、すべてが済んだら
私はやるべきことをやる
すぐにだって世界も救える
自分の惨めさ引き受けて
すごい玉にしてみせる
みんなのかわい子ちゃんじゃいられない。
だから、狙い定めて撃ち尽くす
こんなに冴えてたことはない
私のほかに誰も私を守れはしない

私は私の道をゆく
紅月が昇りゆく
私の目にも炎が燃える
私のほかに誰も私を守れはしない

私は私の道をゆく

別に都都逸や演歌にするつもりはないのですが、どうも調子づいてしまいますなあ。

①これは個人的なことではない=私的な悪意ではない、ということ。IRAを描いた映画でNothing Personalというのがありましたねえ。

②takeの基本のしぐさは自分の領分の外にあるものごとに手を伸ばし、領分内に引き入れる動き。「惨めさを振り払う」という訳はoffの幻を見てしまったのでしょう。いやなものをさっさと振り払っていては本当の変容は無理です。

③ここは難所。bitchはson of a bitchでご存知の通りあばずれな雌犬。ただ、極端な意味の単語はわざと反対の意味で使われることも。英語ならwicked、日本語なら「ヤバい」がその例。この歌全体として今のどん底状態から「逆転」を宣言していると考えると、「あばずれ雌犬」の逆の意味と解釈するのが自然。ただ、「素晴らしい女性」なんて訳すといきなり「家庭画報」の世界になってしまって、ビッチの音の響き、逆転の妙味が活きません。そこで、「玉」としました。

④awayはホームとアウェイのアウェイだけではなく、間断なく続ける様子、完全になされる様子を表すこともあります。この場面、狙い定めて一発撃ってありゃ、外れ、失敗!ではいかんのです。一発でしとめられればそりゃ結構ですが、この主人公はon my wayと続く自分の道を歩む、つまり継続を覚悟しているようですから、撃ち「尽くす」としました。

⑤ここは睡眠時無呼吸症候群のような誤訳が多いです。「こんなにすっきり目覚めたことはない。」この人、寝起きだったのですか?それならI have never woken up so refreshed.とかでは?awakeは目が覚めている状態。 wideは十分に開いている、という意味。widelyではなく wideと組み合わせる語は限られていて意味にも注意が必要です。私がこの表現に出会ったのは17歳のとき。カーペンターズの I Need to be in Loveの一節でした。I’m wide awake at four a.m. without a friend in sight. Hanging on a hope but I’m alright.のところ。これもまた気の毒な状況ですが、この歌の邦題は「青春の輝き」。

⑥ブラッドムーンは皆既月食のときに見えます。その月影が目に移り込んで炎のようだというんですから、尋常じゃありません。まあ、気が済むようにするしかありませんけどねえ。

いかがでしたか?私も絶対これが正しいなんて思っているわけでもありませんので、どうぞ皆さんのご意見をお聞かせください。

カーペンターズとチャゲアスがmy wayの冠木友紀子のプロフィール

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大学の通訳養成講座、たとえばこんなふうに

縁あって(本当に奇跡のような)、私は大学でも通訳養成の講座を担当しています。何よりの喜びは学生たちとの出会い。20歳で通訳の勉強なんて、私は考えてもいませんでした。感心することしきりです。

本物で包囲してくれた母校。

ただ、残念なことも…日本の従来型大学教育の構造的、体質的な問題です。たとえば…

  1. 通訳養成講座が「-文学-語学科」に設定されている。
  2. 授業が週1度、1学期で15回しかない。
  3. 再履修ができない。

それがなぜ困るのかというと…

  1. 昨今の文学、語学系学科には高校1年あたりから早々と「苦手」な数学、理科、世界史の学びを離れた人たちがいます。土台となる教養がなければ、いちいち準備に時間がかかります。
  2. 週1の授業でなんとかするには、楽器の習い事式に家での毎日の練習を課すしかありません。ただ、小学生のピアノの練習を自宅で家族が見守るほど単純ではなく…
  3. 学び続けたい学生は聴講扱いになり、単位も成績もでません。剣道のような稽古にならんのです。

そこで、大学生のためには、こんなふうにできたらいいと思っています。

  1. 通訳養成講座は文学、語学系学科所属ではなく、リベラルアーツのカレッジワイド・プログラムとして文学、語学系教員を中心としながら、社会科学、自然科学の教員のサポートを求める。また、理科、社会がお留守な学生は学習まんがで自習する。
  2. ICUのようにすべての授業を最低週3限とする(無理だ)。あるいは、学期中ではなく長期休暇中の集中授業とする。これで感覚が変わる体験も可能になる。
  3. 上記、集中授業を複数大学で共催、共有。教室だけでなく、学外でも奉仕体験を積む。何度でも参加できるようにする。

まあ、言い出しっぺには責任がありますね。通訳道場で学生部も持てたらいいのですが、さてどうしましょう。お知恵を貸してくださいな、とくに現役学生諸君。

持続可能な社会のための通訳者・通訳トレーナー 冠木友紀子のプロフィール

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文学が聞きにくい通訳を救う

zoom朝活通訳修行も好調です。今日はピーター・マクミランさんの百人一首の英訳が話題になりました。

このごろは、文学なんて大学の役立たず、高校でも必修から外すべし、などという声が聞こえますが、とんでもない。

文学とがっぷり四つに組むって大変な冒険、能動的な体験です。

のんびり英文学作品を日本語訳で読み、登場人物の気持ちを推し量る、精神分析をもてあそぶことなどではありません。(そんなことばっかりしてるから役立たず、って言われちゃうんです。)

例えば英詩を日本語の「詩」に訳す、日本語の俳句を英語「俳句」にしてみる。

ちょっとお手伝いしているフェリス女学院の同僚にも、アメリカ出身で、日本語で短歌づくりを楽しむ人がいます。さて、日本の英米文学科の学生で英詩を作ったことのある人はどれくらいいるのでしょう?

詩を詩に訳すには途方もないエネルギーがいります。詩を書くより大変かもしれません。時間をかけ、頭をひねり、多くの選択肢から1つを選び、それでもなお完璧だとは思えません。

時間に追われがちな通訳者の皆さんにも、ひとりでいられるお休みの日に、じっくり詩と取り組むことをおすすめします。豊かな時間となるはずです。

いや、それはちょっと無理…というなら、毎日一首、一句、一篇でよいので、英語、日本語で韻文作品を音読することをおすすめします。

なぜなら、通訳者にありがちな「聞きにくさ」「通訳口調」改善に効果抜群だからです。

通訳者の「聞きにくさ」の原因は、往々にして余分な「埋め草あぶく言葉」です。「えー、それといいますのも、つまり、しかしながらですね」聞かされる方はたまったものではありません。

これをやめよう、と意識すると逆効果。そんなことは意識せず、よいお手本に耳と口を慣らした方がうまくいきます。

私はドナルド・キーンさんの説明的でなく、余分な語がまったくない訳が好きです。

閑さや     Such stillness-
岩にしみ入る The cries of the cicadas
蝉の声 Sink into the rocks.

万葉集から江戸時代の漢詩までを網羅したドナルド・キーンさんの素晴らしいアンソロジー

もちろん、文学だけで通訳養成は不可能です。それについては別稿にて。

訳した感ゼロ、話芸としての通訳者 冠木友紀子のプロフィール

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通訳道場★朝活とシュタイナー「魂のこよみ」

通訳道場参加者限定の朝活。月12回朝8-9時にzoomで稽古(!)しております。

これがいいんです。毎回それぞれ話す内容を準備するのですが、まあ、人の話には思いがけないこと、教わることばかり!話す方も通訳してもらうつもりで話しますから、話し方が整ってきます。相当長いまとまりを通訳していますが、生き生きときれいに訳せています。友人同士ですから、平板な従来型通訳口調ではおかしいですもんね。

今日の話題は…中国で優秀な警察犬のクローンを作ろうとして議論になっているということと、トランプ大統領がグリーンランドを買い損ねてへそを曲げてデンマーク訪問を取りやめたということ。

通訳し合うだけでなく、意見交換もします。

この2つのテーマを重ねて透かしてみると…「対象意識」という言葉が浮かんできました。

自分以外のものごとを「対象」と捉え、意のままに操ろうとする態度のことです。そこに共感や想像はありません。「対象」に与えた痛みをやがて自分も味わうことになるとは思わずに…

私にはシュタイナーの「魂のこよみ」20週目の詩が気になりました。

実はドイツ語祭り(=学習)の一環として、週ごとの「こよみ」の詩を訳そうと思い立ったところでした。

訳そう、と思うと能動スイッチが入ります。ひとこともゆるがせにできません。ああでもない、こうでもない、ここはどうして言い換えてあるんだろう。この語の語源、おおもとの仕草はどんなだろう。もう、ずっと考えています。覚えてしまいます。高橋巌さん、秦理絵さんの訳も、訳者の頭の中を想像しながら、ありがたく拝見します。

これが読者として受け身なままでいると、「シュタイナーってなんか難しい。訳語がカタいんじゃない?」と浅はかなブータレに終始しがちです。

で、あくまでも私訳の試訳ですのでお手やわらかに…

So fühl ich erst mein Sein,  
Das fern vom Welten-Dasein  
In sich, sich selbst erlöschen  
Und bauend nur auf eignem Grunde  
In sich, sich selbst ertöten müsste.
             -Rudolf Steiner

こう私は感じる、自身の在りようを-
遠く世界存在から離れては
己のうちに、己を消し去ることになり
己のみに拠り立てば
己のうちに、己を死なせることになると。
(「魂のこよみ」第20週   冠木友紀子 試訳)

グーグル翻訳もがんばっています…でも、詩や哲学は苦手ですねえ。

それが私が最初に感じる方法です
世界の存在からは程遠い
それ自体で、それ自体を消すために
そして、独自の根拠に基づいてのみ構築
それ自体で、自分自身を殺す必要があります。

持続可能な社会のための通訳者 冠木友紀子のプロフィール

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海外講師のパワポが英語で困ったときは

お久しぶりです。ヨーロッパ出張通訳の後はまるで休みなし。英語落語集中ワークショップもあり、楽しいながらもさすがにちょっとくたびれて、なかなか更新できずにいました。

でも、今日は書かずにおれません。まだこんなことで困っている人がいるなんて!

友人が参加した海外講師の割とお高いセミナー、通訳はいたけれど関係者でプロではなく、パワポは英語のままだったそうです。えええー、まさか?

「通訳をきけばわかるでしょ。」
「みんな、英語読めるから大丈夫でしょ。」
「翻訳に出しているお金ないし。」

心の底から参加者の喜びを願っていたら、こんな言い訳は出ないものです。
本当に参加者に「しょうがないね」と言わせたくなかったら、「さすがだね」と言ってほしかったら、何とか方法を探すものです、見つけるものです。

私が通訳しているセミナーはすべてスライドも日本語を用意します。参加する皆さんを快適にして、自由に考えることを楽しんで欲しいから。

なぜ、ここに洗濯機が…?あとのお楽しみ

で、私が1から翻訳しているかって?―No.

音声情報を扱う通訳に比べてフォント(手書きでさえない)情報による翻訳は情報量がけた違いに少ないのです。自動翻訳もすすんでいます。

私が使っているのはマイクロソフトのPresentation Translatorというパワポのアドイン。一瞬で翻訳されたコピーのパワポを作ってくれます。グーグルにファイルを放り込むとか、コピペするとか、そんなお手間もいりません。

Presentation Translator ダウンロードはこちらから

アドイン翻訳の出来栄えは70点。これを110点まで持って行くのが私の日本語力や知識の出番です。0点から70点まで持って行くのはアドインさんのほうが私よりずっと速い。でもアドインさんは110点にはできない。うまいことコンビを組んでいるわけです。 それもこれも参加者の皆さんに驚き、喜んでほしいから。

自動翻訳のおかげで人より早く、うまく、大量に安く仕上がれば怒る人は誰も居ません。

セミナー主催者の方が、すでにアドインで日本語訳したファイル作成し、通訳者にもとのファイルと比べて直してもらえばさらにお安く済むかもしれません。そのお金もなければ、アドイン訳を当日表示し、通訳者さんのちゃんとした訳を聞いて、アドインの変な訳はみんなで笑えばよいのです。

翻訳は洗濯に似ています。なんでもかんでも人力でやるのは桃太郎のお婆さんと一緒。川で洗濯板ですよ。皆さん、お家でも洗濯機、あるいは乾燥機までお使いでしょう?そしてものによって洗剤や洗い方も変えるでしょう?干すときに形を整えることに気をつかうでしょう?

それと同じです。カシミヤのセーターにはやさしい手洗いが必要、臭い剣道着はコインランドリーへ。それぞれに最適な方法が最善の仕上がりにつながるのです。

通訳道場★横浜CATS 朝活盛況です









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通訳学校で伸びる人、伸び悩む人

通訳学校でどんどんうまくなり、講座を修了する前に仕事が始まる人もいれば、10年も通って400万円も学費を払いながら一銭も仕事にならない人もいます。

どうしたら伸び悩む人も、伸びるようになるでしょう?

通訳学校に通う曜日を増やす?

いえいえ、お金がかかるばかりです。

通訳学校以外のインプットを増やすことです。

文系理系に関係なく古今東西の名作を読むこと、ダイジェスト版で結構!できれば気に入ったものを暗誦すること。落語に通うこと。

通訳学校の練習はこんな感じです↓
先生が音声をワンフレーズ再生、一時停止しては指名された生徒が通訳、そして先生の模範通訳。これを英日、日英で繰り返します。

私が目撃した伸び悩みさんたちは実に真面目でした。英文学科出身の典型的文系さんで、2時間の授業中一生懸命訳しては先生の模範をひたすらノートにとりまくり。ノート取りに忙しくて政治家の話も芸能人の話も同じ口調。これではちりが積もってもいつまでも山にはなりません

かくいう私は臆面もなく伸びた方ですが…楽だったんです。まるで訳している気がしなかったんです。勝手に訳が出てくるようで(まるで我慢し損ねたオ〇〇のよう)。

聴こえたフレーズから絵が立ちのぼり、磁石が砂鉄を集めるように言葉が集まって来る。

その砂鉄はどこから…?

実は学生時代にさかのぼります。楽をさせてくれない手加減なしの学校で文理幅広く触れ、毎日聖書、讃美歌の日本語に触れていました。イエズス会の英語教科書は語彙も文章量も文科省の標準の3倍!中2のとき、太宰治に憧れて間全集を毎日1巻のペースで何度も繰り返し読んでいました。大学はリベラルアーツ。おかげで概念、語彙のプールがでかい(!)のだと思います。

私が通訳学校で体得したのは、すでにできている日本語プールと英語プールを画像でシンクロさせる方法です。

大人の方に私の学生時代のようなヒマはありません。だから学習漫画でもダイジェストでも新書でも結構。視野を広げ、新しい言葉を獲得してくだい。

先日、ITやAIにとても詳しい友人から、自動翻訳がこのごろとても良くなったのは膨大なよい訳例にふれさせているから、と聞きました。どうも私がやっていたことに似ています。私がのろのろ処理できる量はわずかですが。

普通レベルの通訳・翻訳なら自動翻訳が当たり前になる時代がすぐそこまで来ています。

さて、次のことを考えましょうか。

持続可能な社会のための通訳者 冠木友紀子のプロフィール

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「クワイ河収容所」バイリンガル読書会はまるで…

「クワイ河収容所」は元英連邦戦争捕虜のアーネスト・ゴードンさんの手記を、我が恩師、元ICU名誉教授の斎藤和明先生が訳されたもの。その手記と日本語訳を並べて読み進み、語り合い、聴き合おうという贅沢な読書会。

ねらいは2つ。目に見える戦争の記録から、いまもここにある目に見えない戦争に気づくこと。既成概念を軽ーく越える和明先生の英日翻訳のコツを学ぶこと。

初回はゴードンさん、和明先生が招いてくれたとしか思えないメンバーが集まりました。もちろん、ゴードンさん、和明先生もご一緒くださった気がしてなりません。

第一章、第一段落の日本語訳出だしを読んだEさんが言いました。

「やられました。もう、出だしで。だいたい翻訳ものは出だしでその後が推して知るべしです。でも、これは次の文、またその次と読みたくなります。」

それは…ここを訳したもの。みなさんはどう訳しますか?

I was dreaming, and I was happy with my dreams.

普通に訳した一例としてはこんなものでしょうか…

「私は夢見ていて、私は夢のことで幸せだった。」

和明先生は、もちろん全体を何度も読んでのうえで、こう訳されています。

「夢を見ていた。夢を見ていれば幸福であった。」

英語の代名詞をいちいち訳すな、とは通訳道場でもいつも言っていること。英語では顕在する代名詞は日本語では「ない」のではなく潜在します。

こんなのは序の口。

X above YといえばYの上にXと教わりますね。本当にそれだけでしょうか。これは次回。

英語を学ぶときに和訳を参考にすることはどこかやましいズルをしている気がしませんか。その和訳の味わいはいまいちで、ああ、この語が英語のこれなのね、と確かめる。もとの英文の語りの姿を再確認するまではいかない。中高生はそんな和訳の使い方をしていませんか。

でも、ゴードンさんの英文と和明先生の日本語訳は二枚看板。東大寺南大門の二体の金剛力士像のようでした。

次回は8月4日 横浜山手地区にて。人数に限りありますので、ご関心おありの方はお早めにお問合せください。

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医療通訳は難しい?

ひょんなご縁でお引き受けした医療通訳のオンライン講座。無事初回がおわりました。2時間みっちりの講座は日本語から英語への通訳も含んでいます。

みなさん、とても真剣にがんばっています。揃って言うのは…「やっぱり用語が難しいです」

ん?それってどういうこと?

ものごとは細かく分けて見ることが大切。

難しいのは医療関係の英語か、日本語か?

それとも用語を覚えるのが大変なのか、用語からイメージがわかないのか?

どれもyes!かもしれませんが、重荷になっているのはそれぞれ後者では?

医療関係の堅い日本語からイメージがわかない。だから結果的に覚えづらい。(医療関係の英語は日常の英語とそれほどかわりません。)

医師の方たちならば、明瞭な専門用語のほうが現場とも結びついていてイメージもわく。 けれど、現場を知りようのない通訳者が英単語-日本語を対照して暗記しようとしても大変。

ここで「語学系の通訳者なもので…」と勝手に限界を決めてはいけません。通訳者が語学村の住人で事足りたのは前世紀の話。

あわてなければ大丈夫です。日々少しずつ積み重ねれば大丈夫です。

何を?

2つおすすめします。

1つめは、通訳者ならではのポイント。語源を調べましょう。

たとえば、肝臓-liver, hepaticなどと覚えるでしょう。じゃあ、肝臓ってどういう意味ですか?月(にくづき)+干(幹、の意)で、命の「幹」という意味があるそうです。カラダという樹を支える大きな幹が思い浮かびますか?あなたが思い浮かべた樹はどんな樹?欅?杉?

それが英語ではliver。これのもとが昔のドイツ語のleberだそうで。よほど「レバー」に近いですね。これがleben=生きる、に由来するそう。

洋の東西を超えて、肝臓を命の要と感じていたのですね。

ちなみに、酔っぱらいがお世話になる「ヘパリーゼ」でおなじみのhepat-はギリシャ語の肝臓の意。ギリシャ人が肝臓をどう理解していたかは諸説あり、しばらくお待ちくださいませ。

世の中は超高速で変化していますが、私たちの身体はそれほど変わっていません。なので、その名前には昔の人たちの見方、思いが結晶となって込められています。

どうか、一対一の単語つめこみ暗記で終らず、その奥深くの昔からの景色をお楽しみください。

2つめは、ひとつの全体としての身体のしくみを知ること。消化器系、神経系とバラバラに覚えないこと。そのためにおすすめなのがこちら、Functional Morphology. それぞれの臓器、系が現在の形となるまでの壮大な歴史を旅することができます。面白いから、感動して思わず覚えてしまいます。

日々、少しずつ楽しんで積み重ねてください。

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