大学入試共通テスト、英語スピーキング、ライティングで測っているのはスピーキング、ライティングだけじゃない?!

このテーマは書いていてもうんざりしますので、これで一旦終わりにします。自分の人生を振り返って、この30年何やってたんだと思うことはありますが、大学入試に比べりゃまだましです。

さて、言語スキルを4つの技能分けることが人間の感覚処理、運動表出にうまく合わないことは前回のブログで指摘しました。

今回は4技能に分けたテストを採り上げます。スピーキング力はスピ―キング力だけを、ライティングはライティング力だけを測っているわけではないことがおわかりになるでしょう。

さて、民間英語試験の選択肢のひとつであったGTEC。

こちらのスピーキング問題では4コマ漫画を見てストーリーを語ります。スピーキングとして表現するのは最終段階で、準備として漫画の主人公を見つける、何が起きているか読み取る、漫画から感情を推し量る、など英語以前のさまざまなスキルが求められます。

また、ライティングでは活字離れをテーマに考察、意見を述べるよう求められています。これもライティングという最終成果以前の仕込みのスキルが影響します。現象を考察し、情報を解釈し、仮説を立てる。ひとりブレスト、コンセプトマップづくりをして意見をまとめる。

両方とも細やかに受信し、明瞭な構成で発信する、つまり考える力も問われているのです。

中高の段階で「思考技法」「言語技術」という科目横断総合授業があればいいのですが、一部の私学を除けば珍しい話。

大学の必修英語でもスピーキング、ライティングとそれぞればらばらにテキストが用意され、応用がきく共通の核をしっかり鍛えることは容易ではありません。

英語、英語と浮足立つ前に、考える力を磨きましょう。キーワードはラテラルシンキング。ゼロベースで新しいアイデアを作りだす力を育てます。ロジカルはその後でいいんです。

lateral thinking、日本では木村尚義さんによってビジネスに紹介されていますが、発祥の地、イギリスでは学校でも実践されています(Brexit騒動に妙案が浮かぶといいのですが)。オンライン通訳道場生放送でもクイズにしようかしら。

土に還れるエシカルライフのための通訳者 冠木友紀子プロフィール

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大学共通テスト、英語民間試験延期しても4技能評価は非科学的

政界では本音を言うと失言になるみたいですね、萩生田さん。それにしても延期は遅いとはいえ適切な判断です。このあと5年をかけて新たな体制を作るとのこと。令和6年から4技能を評価するそうですが…

この4技能が大いに問題です。英語教育関係の資料で見かけるのはこんなフレームワーク。

確かに教材やテストもリスニング、スピーキング、と別れていますしね。でもこの分け方、人間の情報処理プロセスをうまく反映しているとは言えません。

結論から言えば、すべての土台は聴く力です。

聴く力自体細やかに込み入ったプロセスなので、それをここで詳しく述べることはしません。(後で参考文献を紹介します。)

端的に言えば、聴けなければ話すことはできません。
聴けなければ読むこともできません。
聴いて読むことができなければ書くことはできません。

え?昔の英語の授業ではリスニングなんかしなかったので話せなかったけれど、難しいものも読めていたし、書けていた?

それは日本語の音の影響をうけた「英語もどき(カタカナ英語)」で乗り切っていたのです。「英語もどき」は実際の英語と違うので、とっさの会話が聴き取れない、返事できない、というわけです。

どうして語学教育が、これほど人間の運動・感覚発達を視野に入れずに行われるているのか私には理解できません。

次回ではテストでの問題を指摘します。

言語の認知神経科学をご自分で詳しく読みたい方にはこちらをおすすめします。
Cognitive Neuroscience of Language by David KEMMERER

アントロポゾフィーに基づく、持続可能な医療・農業・教育のための通訳者 冠木友紀子のプロフィール

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いったいどうなる?2020年大学入試、民間英語試験導入。

2020年大学入試、民間英語試験導入のはずが、 高校生にも、高校の校長先生にも延期を望まれるという異常事態。

実は10年ほど前、大学入試センターの通訳をしていたことがあります。

その頃、政治主導で共通テストの複数回化が唱えられていました。けれどセンターの現場、専門家には根強い疑問が。「たった1回のセンター試験で出されるたった1問を作るのに数百問を検討して、年1回の試験にやっと間に合わせているのに、どうして何回もできるものか!」ある先生は「床屋談義もいいかげんにしろ」と呆れていたほどです。

それで、民間試験。

もう、やめちゃえ!

民間英語試験を?

いえいえ、入試英語そのものを。私は外国語を入試科目にすること自体反対です。

皆さん、思い出してみてください。

ピアノでもギターでも茶道でも、なにがしか身についたとき、それに夢中だったのではありませんか?恋愛状態だったのでは?だから、多少の困難、苦労も乗り越えられたのでしょう?

恋愛は個別のものです。

他人から見たら野暮ったいブ男でも、夢中になっている本人には世界のすべて。他人にとっては平凡でも本人には特別。

外国語の学びも似ています。

ドイツ語に夢中になる人もいれば、あんなカタイのはいやだ、という人もいる。イタリア語と恋に落ちる人もいれば、あんなに明るいのはついていけない、という人もいる。

英語の楽しさを伝えたい、というハシャイだ先生が多いのも困ったもの。イタリア語のほうが楽しいかもよ。律儀な人にはドイツ語の方が楽しいかもよ。

英語を全員で好きになるなんて気持ち悪い。

全員で英語を学ぶのが無理なのです。全員でやらなくていいのです。

できないと困る?そんなことありません。
困りそうになったら人間本気出します。間に合います。
台所の消火器じゃないんだから、わけもなく用意しておく必要はありません。

多くの教科書に見られる、地域色を薄めた「国際語」としての「英語」にはもともとの言語の色気がありません。

さて、どうするか。

中高生諸君、他の外国語に浮気しなさい。自分だけの恋人を見つけなさい。

学校の英語の先生には、実は大学の専門はモンゴル、トルコ、中国と別の外国語だった方も少なくありません。ぜひ、そのお話をきいてみてください。先生の目の色、きっとかわるよ。

中国、フランス、インドネシア、いまはネットでいくらでも聴けます。たとえばこれはフランスのテレビ。

これ好き!と思えるのをイチからこっそり学んだら、学校の英語がラクに思えます。 私も中3のとき、友達とドイツ語学習会をはじめました。すぐ頓挫しましたが、後悔はしていません。

ドイツ語祭り続行中!持続可能な社会のための通訳者 冠木友紀子のプロフィール

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気になる洋楽歌詞和訳【On My Way】 by Alan Walker, Sabrina Carpenter & Farruko

通訳道場の悦子さんにすごい人のことを教えてもらいました。

アラン・ウォーカーという音楽プロデューサーです。
いや、この人すごい。
10代の頃からPCで楽曲制作、どんどんYouTubeに上げて、あっというまに大ヒットメーカー。それでもいつもパーカかぶって顔をかくしているとか…。ソニーの公式ページによるとまだ21歳ですって?

ITを駆使した時代の寵児、天才です。

なんでも、アラン・ウォーカーAlan Walkerとサブリナ・カーペンターSabrina Carpenter、ファルッコFarrukoがコラボした楽曲『オン・マイ・ウェイ On My Way』が気になって、検索してみたら腑に落ちない和訳が目についたのだそう。

私も調べてみました。

いやあ、ネットのおかげで誰でも発信できるようになりました。

アラン・ウォーカーのような才能が世に出るのと同様、
いまいちな情報も出まくりです。

すべて注釈を入れるのはご容赦願いまして、気になるところだけ…

I’m sorry but 
Don’t wanna talk
I need a moment before i go
It`s nothing personal①

I draw the blinds
They don’t need to see me cry
Cause even when they understand
They don’t understand

So then when I’m finished
I’m all ‘bout my business
And ready to save the world
I’m takin my misery②
Make it my bitch③
Can’t be everyone’s favourite girl

So, take aim and fire away④
I’ve never been so wide awake⑤
No, nobody but me can keep me safe
And I’m on my way
The blood moon is on the rise⑥
The fire burning in my eyes
No, nobody but me can keep me safe
And I’m on my way

すまないけれど
話したくない
少し時間を、発つ前に
悪気はないの

ブラインド降ろす
あの人ら、私の涙見なくていい
だって、わかってるつもりで
わかってない

だから、すべてが済んだら
私はやるべきことをやる
すぐにだって世界も救える
自分の惨めさ引き受けて
すごい玉にしてみせる
みんなのかわい子ちゃんじゃいられない。
だから、狙い定めて撃ち尽くす
こんなに冴えてたことはない
私のほかに誰も私を守れはしない

私は私の道をゆく
紅月が昇りゆく
私の目にも炎が燃える
私のほかに誰も私を守れはしない

私は私の道をゆく

別に都都逸や演歌にするつもりはないのですが、どうも調子づいてしまいますなあ。

①これは個人的なことではない=私的な悪意ではない、ということ。IRAを描いた映画でNothing Personalというのがありましたねえ。

②takeの基本のしぐさは自分の領分の外にあるものごとに手を伸ばし、領分内に引き入れる動き。「惨めさを振り払う」という訳はoffの幻を見てしまったのでしょう。いやなものをさっさと振り払っていては本当の変容は無理です。

③ここは難所。bitchはson of a bitchでご存知の通りあばずれな雌犬。ただ、極端な意味の単語はわざと反対の意味で使われることも。英語ならwicked、日本語なら「ヤバい」がその例。この歌全体として今のどん底状態から「逆転」を宣言していると考えると、「あばずれ雌犬」の逆の意味と解釈するのが自然。ただ、「素晴らしい女性」なんて訳すといきなり「家庭画報」の世界になってしまって、ビッチの音の響き、逆転の妙味が活きません。そこで、「玉」としました。

④awayはホームとアウェイのアウェイだけではなく、間断なく続ける様子、完全になされる様子を表すこともあります。この場面、狙い定めて一発撃ってありゃ、外れ、失敗!ではいかんのです。一発でしとめられればそりゃ結構ですが、この主人公はon my wayと続く自分の道を歩む、つまり継続を覚悟しているようですから、撃ち「尽くす」としました。

⑤ここは睡眠時無呼吸症候群のような誤訳が多いです。「こんなにすっきり目覚めたことはない。」この人、寝起きだったのですか?それならI have never woken up so refreshed.とかでは?awakeは目が覚めている状態。 wideは十分に開いている、という意味。widelyではなく wideと組み合わせる語は限られていて意味にも注意が必要です。私がこの表現に出会ったのは17歳のとき。カーペンターズの I Need to be in Loveの一節でした。I’m wide awake at four a.m. without a friend in sight. Hanging on a hope but I’m alright.のところ。これもまた気の毒な状況ですが、この歌の邦題は「青春の輝き」。

⑥ブラッドムーンは皆既月食のときに見えます。その月影が目に移り込んで炎のようだというんですから、尋常じゃありません。まあ、気が済むようにするしかありませんけどねえ。

いかがでしたか?私も絶対これが正しいなんて思っているわけでもありませんので、どうぞ皆さんのご意見をお聞かせください。

カーペンターズとチャゲアスがmy wayの冠木友紀子のプロフィール

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海外講師のパワポが英語で困ったときは

お久しぶりです。ヨーロッパ出張通訳の後はまるで休みなし。英語落語集中ワークショップもあり、楽しいながらもさすがにちょっとくたびれて、なかなか更新できずにいました。

でも、今日は書かずにおれません。まだこんなことで困っている人がいるなんて!

友人が参加した海外講師の割とお高いセミナー、通訳はいたけれど関係者でプロではなく、パワポは英語のままだったそうです。えええー、まさか?

「通訳をきけばわかるでしょ。」
「みんな、英語読めるから大丈夫でしょ。」
「翻訳に出しているお金ないし。」

心の底から参加者の喜びを願っていたら、こんな言い訳は出ないものです。
本当に参加者に「しょうがないね」と言わせたくなかったら、「さすがだね」と言ってほしかったら、何とか方法を探すものです、見つけるものです。

私が通訳しているセミナーはすべてスライドも日本語を用意します。参加する皆さんを快適にして、自由に考えることを楽しんで欲しいから。

なぜ、ここに洗濯機が…?あとのお楽しみ

で、私が1から翻訳しているかって?―No.

音声情報を扱う通訳に比べてフォント(手書きでさえない)情報による翻訳は情報量がけた違いに少ないのです。自動翻訳もすすんでいます。

私が使っているのはマイクロソフトのPresentation Translatorというパワポのアドイン。一瞬で翻訳されたコピーのパワポを作ってくれます。グーグルにファイルを放り込むとか、コピペするとか、そんなお手間もいりません。

Presentation Translator ダウンロードはこちらから

アドイン翻訳の出来栄えは70点。これを110点まで持って行くのが私の日本語力や知識の出番です。0点から70点まで持って行くのはアドインさんのほうが私よりずっと速い。でもアドインさんは110点にはできない。うまいことコンビを組んでいるわけです。 それもこれも参加者の皆さんに驚き、喜んでほしいから。

自動翻訳のおかげで人より早く、うまく、大量に安く仕上がれば怒る人は誰も居ません。

セミナー主催者の方が、すでにアドインで日本語訳したファイル作成し、通訳者にもとのファイルと比べて直してもらえばさらにお安く済むかもしれません。そのお金もなければ、アドイン訳を当日表示し、通訳者さんのちゃんとした訳を聞いて、アドインの変な訳はみんなで笑えばよいのです。

翻訳は洗濯に似ています。なんでもかんでも人力でやるのは桃太郎のお婆さんと一緒。川で洗濯板ですよ。皆さん、お家でも洗濯機、あるいは乾燥機までお使いでしょう?そしてものによって洗剤や洗い方も変えるでしょう?干すときに形を整えることに気をつかうでしょう?

それと同じです。カシミヤのセーターにはやさしい手洗いが必要、臭い剣道着はコインランドリーへ。それぞれに最適な方法が最善の仕上がりにつながるのです。

通訳道場★横浜CATS 朝活盛況です









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通訳学校で伸びる人、伸び悩む人

通訳学校でどんどんうまくなり、講座を修了する前に仕事が始まる人もいれば、10年も通って400万円も学費を払いながら一銭も仕事にならない人もいます。

どうしたら伸び悩む人も、伸びるようになるでしょう?

通訳学校に通う曜日を増やす?

いえいえ、お金がかかるばかりです。

通訳学校以外のインプットを増やすことです。

文系理系に関係なく古今東西の名作を読むこと、ダイジェスト版で結構!できれば気に入ったものを暗誦すること。落語に通うこと。

通訳学校の練習はこんな感じです↓
先生が音声をワンフレーズ再生、一時停止しては指名された生徒が通訳、そして先生の模範通訳。これを英日、日英で繰り返します。

私が目撃した伸び悩みさんたちは実に真面目でした。英文学科出身の典型的文系さんで、2時間の授業中一生懸命訳しては先生の模範をひたすらノートにとりまくり。ノート取りに忙しくて政治家の話も芸能人の話も同じ口調。これではちりが積もってもいつまでも山にはなりません

かくいう私は臆面もなく伸びた方ですが…楽だったんです。まるで訳している気がしなかったんです。勝手に訳が出てくるようで(まるで我慢し損ねたオ〇〇のよう)。

聴こえたフレーズから絵が立ちのぼり、磁石が砂鉄を集めるように言葉が集まって来る。

その砂鉄はどこから…?

実は学生時代にさかのぼります。楽をさせてくれない手加減なしの学校で文理幅広く触れ、毎日聖書、讃美歌の日本語に触れていました。イエズス会の英語教科書は語彙も文章量も文科省の標準の3倍!中2のとき、太宰治に憧れて間全集を毎日1巻のペースで何度も繰り返し読んでいました。大学はリベラルアーツ。おかげで概念、語彙のプールがでかい(!)のだと思います。

私が通訳学校で体得したのは、すでにできている日本語プールと英語プールを画像でシンクロさせる方法です。

大人の方に私の学生時代のようなヒマはありません。だから学習漫画でもダイジェストでも新書でも結構。視野を広げ、新しい言葉を獲得してくだい。

先日、ITやAIにとても詳しい友人から、自動翻訳がこのごろとても良くなったのは膨大なよい訳例にふれさせているから、と聞きました。どうも私がやっていたことに似ています。私がのろのろ処理できる量はわずかですが。

普通レベルの通訳・翻訳なら自動翻訳が当たり前になる時代がすぐそこまで来ています。

さて、次のことを考えましょうか。

持続可能な社会のための通訳者 冠木友紀子のプロフィール

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脱!読みにくい翻訳「A above B」 は「Bの上のA」?

「above~」=「~の上に」
まずはそう習います。導入としてはわかりやすい。間違いでもありません。

では、これを日本語に訳してみてください。 「クワイ河収容所」冒頭、主人公がまどろみながら故郷の 海辺の景色を夢見るシーンです。

I heard the raucous cry of sea-gulls circling above the fishing-boats as the fishermen sorted their catch.

北ウェールズの海辺

ありがちなのは…「私は漁師が獲物をより分けている漁船の上に円を描く鷗たちのしわがれた鳴き声を聞いた。」

だめだこりゃ。
ビデオカメラでこの訳の通りにこのシーンを録ってみてください。変でしょう。イメージの順も、感覚体験の順も台無しです。

ICUの齋藤和明先生はこう訳しておいでです。
「大空にはかもめが数羽旋回していた。咽喉をつぶしたような鳴き声が聞こえていた。下の方では漁船の漁夫たちが獲物を選り分けていた。」

aboveを「~の上に」なんてしていないでしょう?こうすると視線の流れが自然でしょう?

ただ、毎朝鳥の声で目を覚ましているイナカッペの私としては、「聞こえた」が先で、鳴き声の方向に目をやると「見えた」になるのでは、と思います。ウグイスなんかなかなか見えませんけど。 英文もそういう順で描写しています。

「耳に入ってきたのは鷗のしわがれた鳴き声だった。旋回する鷗たちの下方では、漁船で漁夫たちが獲物を選り分けていた。」

お粗末様でございました。

語の意味を1対1対応で覚えるのは、自転車で言えば補助輪のようなもの。次の段階があります。いつまでも1対1にとどまっていると広い文脈で身動きがとれなくなります。文脈の流れを追えなくなります。作者の心の中の風景、視線の動きを辿り、予測することができなくなります。

読みにくい翻訳はだいたいこの英文解釈の延長タイプ。間違っていない、これしか方法はない、日本語と英語は語順が違うのだ、と問題を自分から遠ざけがちです。

これではかつての機械翻訳と大して変わりません。

さて、ではどうしたら? 次稿をお楽しみに。

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通訳の先生がおススメ、中高生の参考書選び

市川学園といえば屈指の進学校。しかも、ここ数年自由で新しい取り組みが目白押しです。私も通訳養成や英語落語のワークショップを開いています。

先日、学園で立川志の春さんをお招きして念願の落語会が開かれました。これに合わせて校長先生が昨年の英語落語のメンバーを集めて再会の機会を作ってくださいました。

高3のYさん。なんだか静か。
「参考書や問題集ってどんなふうに選んだらいいんですか。」

狭き門より

思わずこう応えていました。
「これを書いた人に会いたいな、とあなたが思えるものがいいんじゃない?」

そんな選び方甘い?

いいえ、そんなことはありません。先生のおすすめやライバルが使っているもの、「〇〇大学合格一直線!」のような煽りぽいものに飛びつくのはカンタン。2、3冊ちらっと見れば買えてしまう。

でも、「この人に会いたい」と思える人に出会うのは意外と大変ですよ。書店の本棚ひっくり返すくらい手に取ることになる。でも、リアル書店はそのためにあるんでしょうけどね。

「手を動かし、心で感じる」ことをいつも大切にしてほしい。あなたの答えはあなたの手と心が知っているから。

“狭き門より入れ。滅びに至る門は広く大きい”-マタイによる福音書7章13節

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仏像を英語で案内するなら

講座の通訳をしていると、あいまに休日の観光案内もご一緒することがあります。

先日も京都にご一緒させていただきました。さすが、京都のお寺はインバウンドの方たちでにぎわっています。タクシーで移動中、アメリカからの講師の先生から訊かれました。

「そういえば、講座が始まる前の日、京都駅の近くを観光したんだけれど…ええと、あれはどこだったかしら。すごく変わってて、おんなじような小さい仏像がずらーっと並んでるところ。普通違うわよね。」

ああ、それは三十三間堂。ずらーっと並んでいたのは千手観音Sahasrabhuja。「普通の」とおっしゃるのは、 ボスが真ん中にいて、左右に2体サポーターがいて、さらにその周りに警備員…のような、でしょう?それは 三尊形式(中尊と脇侍二尊から成る)というそうですよ。

そう。通訳者にとって医学に引けをとらず勉強しがいがあるのが仏教です。事前準備が必須です。

お寺に行ってその場で説明を英訳すればいいや、最近は説明も英語になってるし、なんて慢心はいけません。薬師如来はMedicine Buddhaあたりでごまかせたとしても、阿弥陀如来はどうします?阿弥陀って何?!如来と菩薩の違いは?持国天の天はheavenでいい?(良いわけない!)

その場であわてるのはもったいないです。

仏教の言葉は奥深くて、サンスクリット語、ヒンズー教、中国語、日本仏教がミルフィーユのように重なっています。あまりに面白くて通訳の準備だったことなど忘れるくらいです。そう、そんなこと忘れて没頭したほうがよいのです。

本当にきりがありませんから、今回は高校生の修学旅行にもおすすめの「これだけは」の分だけをご紹介します。アクサン記号がうまく出なくてちょっと困りました。長母音は母音字のあとに「-」をつけました。

  • 仏像の4種類(部)
    • 如来 tatha-gata
    • 菩薩 bodhisattva
    • 明王 vidyaraja
    • 天 deva
  • それぞれの部のメンバー
    • 如来
      • 釈迦如来 Sha-kyamuni / Buddha
      • 薬師如来 Bhaisajyaguru / Medicine Buddha
      • 阿弥陀如来 Amita-bha / Buddha of Infinite Light
      • 大日如来 Maha-vairocana
    • 菩薩
      • 弥勒菩薩 Maitreya
      • 聖観音菩薩 A-rya-valokitesvara
      • 十一面観音菩薩 Eka-dasamukha
      • 千手観音菩薩 Sahasrabhuja
      • 文殊菩薩 Manjusri-
      • 普賢菩薩 Samantabhadra
      • 地蔵菩薩 Ksitigarbha
    • 明王
      • 不動明王 Acalana-tha
      • 五大明王
      • 降三世明王 Trilokavijaya
      • 軍荼利明王 Kundali-
      • 大威徳明王 Yama-ntaka
      • 金剛夜叉明王 Vajrayaksa
      • 愛染明王 Ra-gara-ja
      • 梵天 Brahna-
      • 帝釈天 Indra
      • 持国天 Dhrtara-stra
      • 増長天 Viru-dhaka
      • 広目天 Viru-pa-ksa
      • 多聞天 Vaisravana

こちらの本、おすすめです。「仏像バイリンガルガイド」バイリンガルで、コンパクトなのに内容も充実していてイラストも綺麗。おみやげにプレゼントしても喜ばれます。



お寺にも花のあふれるこの季節。よい週末をお過ごしください。

通訳道場★横浜CATS 第5期




  

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某女子大必修英語が面白い

なぜそんな仕事を?通訳や通訳養成に比べて割に合わないでしょう?

まあ、おっしゃる通り。割に合いません。はじめは「しばらくしたら通訳の授業が回って来るから」なんて言われて信じていたけど。

そういう問題じゃなく、面白いんです。

本物で包囲してくれた母校。

私がまるでだめなヴァイオリンで体験していることが活きるのを感じます。

2小節も進まないうちにストップ。表現や感情の自由どころではない。でも、そこにはゆるがせにしてはならない、ごまかしたら先に進めない要点がある。

この必修のクラスには「文法、発音は気にしないで」と言われて、きちんとしたいのにきちんと向き合われなかったという空気のある人たちが沢山います。

そりゃ、自分でいくらでも調べる人もいるでしょう。でも少数派。それを多数派にするのが先生の仕事だと思うのですが。

たとえば、in, on, atと次元の関連…
l, m, n, の発音…
心拍、呼吸と横隔膜、大腰筋…

そんなディテールをつきつめると、ぱっと花咲く顔が少なくないのです。

このクラスの半分は日本文学、音楽専攻。この授業が最後のフォーマルな英語かもしれない。ならば、最も深い納得とともに送り出したい。もう半分がクラスメートの日本語、音楽への知見に学びながら、通訳後継候補者になればなんとうれしいこと。

手ぐすね引いて待ってます。

冠木友紀子のプロフィール


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