ケネディ元大使「お礼のことば」字幕に学ぶ

持続可能な未来のための通訳者、通訳道場主宰の冠木友紀子です。

毎月12回!行っている朝稽古では、日英両方で読める名作を少しずつ音読し、先人から学んでいます。たとえば、「手仕事の日本」(柳宗悦著)、「天声人語」、「神道バイリンガルガイド」、今をときめくノア・ユヴァル・ハラリの「21Lessons」など。

今朝、Eさんが用意したのはキャロル・ケネディ元駐日アメリカ大使のお別れの挨拶の一部。「ケネディ大使の英語はpure and simpleですてきなんですが、日本語が…」

おやおや、そういうこともあるものなんですね。ちょいと拝見。

前略
I am grateful to the people of Tohoku for
welcoming me and for inspiring the world
with your courage and resilience.
I was deeply moved
to meet students who are staying in the
region to work on revitalization,
local officials who put their communities
first despite great personal loss and
see the progress being made over the
past three years to rebuild lives and communities.
後略

「?」が残るという日本語は、大使館の仮訳です。太字のところが不思議、という意見が続きました。

私を温かく迎えてくれた東北の皆さん
皆さんの強さは世界を元気にしています
被災地に残って復興を助ける学生や
自らが被災しているにもかかわらず
復興に取り組む自治体職員の姿に
胸が熱くなりました。
人々の生活や地域の再建は
進んでいます

調べてみると、これはYouTubeの動画でした。確かに字幕は翻訳と違って、一定時間で表示できる文字数に限界があります。表現は文字ですが、時間との勝負である点、通訳と似ています。通訳の練習に字幕づくりはおすすめです。このご時世、家でもできますしね。

2分12秒あたりからどうぞ。

さて、太字部分について。「強さ」「元気」はちょっと深みに欠けるかもしれません。最後の一文がなんだか復興庁長官の発言みたいになっているのは、I was moved toと切れてしまったように見えるから。

そのへんを手直ししてみました。ただ、この動画は大使館のものなので公開で字幕受付をしていないので、おせっかいの焼きようがありませんが。外国語が使えるのと翻訳通訳ができるのはまた別のことです。日本語も外国語と同じ心構えで語源とともおに学び直し、イメージ思考を鍛えることが欠かせません。

東北の皆さんに感謝します。
皆さんは私を温かく迎え
勇敢に復活するその姿は世界を
奮い立たせてくれました。
被災地にとどまり復興に取り組む学生たちや、
自らひどく罹災しながらも
地元を最優先する自治体職員たちとの出会い
ここ3年の生活と地域の再建ぶりを
目にして深く心打たれました。


巣ごもり期間、お家で心躍る英語ストーリーテリングとそのまま語れる日本語小冊子「The Whisperiing Road」をどうぞ。



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HomeとHouseの違いは?

こんにちは!持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

Stay home とStay at homeの違いについて昨日ブログに書いたら、こんどはhomeとhouseについてコメントをいただきました。

よく学校で習いますね、
home;居場所、故郷、本拠地 つまり心のあるところ
house;住宅

今は確かにそうです。だから野球場やサッカー場が家の形をしてなくても本拠地はホームと言いますね。「埴生の宿Home Sweet Home」なんていう歌もありいます。ちなみにマイホームは和製英語です。(そうそう、ホームではなくホーウムのほうが実際の音に近いです。日本人は二重母音を長母音に変えるよろしくない癖があります。)

織田裕二さんが犬に扮装したCMで、「ハウス!」と命令されて入りうシーンがありました。 織田ワンちゃんはご主人と過ごせるリビングが「ホーウム」。でもなにか悪さをしたと誤解されたようです。「ハウス」で寂しい思いをしながら反省せよ、とのこと。

なんかかわいい!

とはいえ、houseもはじめから物質的な住宅ばかりを差していたわけではありません。古英語husは「神の家」を意味していたんです。意味の変遷は興味深いです。人間の意識の変化が表れます。

さて、住宅展示場で見かける様々なハウスメーカーはどう名乗っているでしょう。ある住宅公園の場合、ホーム派はタマホーム、三井ホームなど7社。ハウス派は積水ハウスなど2社。ホーム派が多数派です。家というモノを作っているのではなく、人が憩う心の故郷を作るんだ、という気概なのでしょうね。

ん?へーベルハウスHebel HausにセキスイハイムHeim?

これはミススペルではなく、ドイツ語です。いかにもそれぞれhouse, homeに似ていますね。

ただ、Hausは物質的な住宅のみでなく、心の本拠地も意味します。Zuhauseなんていう言葉もあるくらいです。
‘ Ich habe ein schoenes Zuhause. ‘「私には美しい故郷がある。」
英語のhouseが落としてきたニュアンスが残っているようです。

さて、日本語でhomeとhouseは何と言いましょう。「家」の読みは「うち、いえ」ですが、「いえ」の語源は?他には?我が家、おらほ?

外国語を学ぶのは日本語と再会する機会にもなります。外国語が鏡となり、普段、いかに何となく日本語を使っているか思い知るのです。

日本語との再会なし、英語が話せればかっこいい、グローバルなんて思っていると、敗戦国の愚民、根無し草になりますよ。

通訳道場★横浜CATS 朝稽古盛況です。

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「すっぱいぶどう」新コロ休校中高生無料通訳道場レポート②

 中高生無料オンライン通訳道場を開催してからもうすぐ1月。地方も学年もミックス、普段の学校の枠を超えたドキドキの試みでした。

紆余曲折の末、通訳素材に選んだおはなしはイソップ寓話の「Sour Grapes」。あのきつねとぶどうのお話ですこれ、プログレスというミッションスクールで長く愛された教科書の中1のおしまいに出てきます。

 Sour Grapes
 
     One day a fox saw some grapes.
They were hanging from a tree and so they were very high above the ground.
It was a hot day and the fox was hungry and thirsty.
‘Oh, look at those beautiful grapes,’ he said and jumped up.
But the grapes were too high. He couldn’t reach them.
He jumped up again and again.
But he couldn’t reach the grapes.
Finally he was very hot and tired.
‘Oh, I didn’t want those grapes,’ he said.
‘Maybe they were sour anyway.’
 
From Progress in English 21 Revised1

え、中1?それでは上級生が退屈では?

そんなことないんですよ!

「ソバ」「バラ」漢字で書けますか?私、書けません。でも読めます。読めても書けないってあるでしょう。中1のお話なら高校生は辞書なしですらすら読める。でも通訳トレーニングでアクティブに、となるとなかなか手ごわいのです。通訳トレーニングは受信力と発信力のギャップを埋めるのにぴったりです。

みんなと私でシャドウイング、2人組でリピーティング…など頭をからっぽにして割と体育会系ぽくこのお話を耳と口に何度も何度も流しました。おはなしが耳と口から心にしみこんだときに、誰ともなくこんな声があがりました。(実際は英語だったり、日本語だったり。)

「きつねがかわいそう。」
「何度も飛び上がったがんばりをなかったことにするの?」
「ぶどうがすっぱいことにしないと耐えられないくらい悲しかったのかも。」
「誰か一緒にいたら違ったんじゃない?」
「もっときつねの身体にいいものがこの先にあるけど、きつねは知らないんだ。」

「自分がきつねだったらどうする?」
「自分がぶどうだったらどう思う?」
「誰の助けをもとめる?」

ギリシャのぶどう園の写真も見てみました。日本のように大きな木を棚にはせず、低木にしています。だから木からぶら下がっているなんてめずらしい。切羽詰まったきつねは尋常でない難題にチャレンジしていたのです。

greentours.co.uk より

このことは第2文They were hanging from a tree and so they were very high above the ground.がちゃんと語っています。勝沼のぶどう棚なんか想像していては誤読です。言葉が適切な映像に変換されることを「読んでわかる」といいます。

一見スピード勝負の通訳も、深く細やかな読み込みと想像に支えられています。そのことを若い皆さんと再確認できたのはありがたいことでした。

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すっぱいぶどう

ある日のこと、ふときつねの目に入ったのはぶどう。
木からぶら下がっていたのでたいそう高く、地面のはるか上でした。
その日は暑く、きつねはお腹がすいて、喉も乾いておりました。
「わあ、ごらん、あの見事なぶどう!」そう言って飛び上がりました。
でもぶどうは高すぎで、きつねの手には届きません。
きつねはなんどもなんども飛び上がりました。
でもぶどうは手に届きませんでした。
ついにきつねはとても暑くなり、くたびれてしまいました。
「あーあ、欲しくなかったんだ、あんなぶどうなんて」きつねは言いました。
「たぶん、どのみちすっぱかったんだろうし。」

冠木友紀子 訳
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通貨・数字の通訳はどうする?

「億単位の金額が飛び交うと…」(わあ、すごい)
「通貨の計算に戸惑います…」

無理しなさんな。そんなところでかっこつけても仕方がない。

ちょっと才走った通訳嬢がすらりと通訳したつもりで、そのあげく、あとで言った言わないのもめごとになるのが数字、金額。

社内ならまだしも、フリーランスが請け負ったクライアントの案件だったらひとたまりもありません。

F1レーサー、日光いろは坂のバス運転手さんを思いうかべてください。

プロは直線とカーブではスピードを変えるでしょ?

どこでもかまわずすっ飛ばすのがかっこいいと思っているのは自己中心的な初心者です。

私は、数字には通訳メモとは別に大きめのポストイットを使います。先方の現地価格、数量をメモ。これでいい?とメモを先方に確認。換算して日本側に伝えます。それを海外、日本側両者で確認。参加者のどなたかに協力をお願いして、いつの、何についてのメモなのかタイトルを書いていただきます。

みなさん、喜んで協力してくださいますよ。誰もが順調かつ正確なコミュニケーションを望んでいるんですから。それに、人に頼りにされるってうれしいでしょ?

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オンライン授業を活かすには-中高生無料通訳道場より

おかげさまで新コロ臨時休校中高生限定無料オンライン通訳道場も4クラス7回は無事終了!

私こそ、朝に夕に中高生のはじける声を楽しみに、まことに健康的な毎日をありがとうございました。

元女子校の先生が初対面の中高生のみなさんに出逢って、オンライン授業の強み、弱みを改めて実感しました。そして2つ、思うことは…

話し手の頭の中の景色を聴き手の頭の中で再現するのが通訳

1.地域の縛りはいらない。
今回は北海道から和歌山まで、さまざまな地域から参加者が集まりました。北海道で雪が降っているときに和歌山はみかんが熟れる温かさ。「え、いま雪なの?」「そうだよ、いま見せるから」こんなやりとりができると天気予報の見え方も変わるものです。

2.学年の縛りはいらない。
急に決めたことだったので、その日時に集まれるメンバーで始めました。学年別でも志望校別でもありません。中1と高卒が一緒というクラスもありました。素材は中1の教科書に出てくるストーリーでしたが…すぐに通訳トレーニングで扱うのは上級生にも充分やりがいアリ。下級生は質問をし、上級生はすでに習ったことを下級生にプチ先生として答え…これ、同学年クラスではなかなか容易でないことです。

課題は、円になって輪唱などのちいさなコミュニティづくりの活動ができないこと。私のアプローチは脳化と逆行するのですが。

というわけで、新学期もオンライン授業にするなら、地域の学校ごとにまとまっているばかりではちょっともったいないですよ。そういう部分があってもいいと思いますが、神奈川の中学生が長崎の中学の授業に参加…なにが問題?そういう変化に富む体験を、地元の学校で分かち合おうではありませんか。

新学期も休校が続くようです。通訳道場、もっと通訳に焦点をあてた講座を中高生限定無料オンラインで1クール(6回)やるかしら、と思っています。

新コロ休校中高生限定オンライン無料通訳道場

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国産チーズパンフ英訳、翻訳の前に大事なこと

持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

自動翻訳もずいぶん精度が上がりました。それでも翻訳者がやらねばならないことが1つあります。

新しい読み手を想像することです。ゼロから書く心づもりでいることです。
(もちろん分野によります。自然科学論文、文芸作品はこの限りではありません。)

考えてみれば当たり前のことです。言語を変えるということは、異なる読者層を対象にするということです。

共働学舎の宮嶋さんからのご紹介で、チーズプロフェッショナル協さんの国産チーズパンフの英訳を担当したことがあります。共働学舎のチーズ大好きな私には願ってもないお話。大いに張り切りました。

もとのパンフはすみずみまで工夫が凝らされた素晴らしいものです。チーズになじみのない日本人に向けて、多種多様なナチュラルチーズの製法と楽しみ方を紹介。チーズの専門家、有名人のインタビュー記事は国産チーズに親しみを感じさせます。生産者のインタビューは情熱にあふれ、思わず応援したくなります。

さて、最初のご依頼は「全部英訳」

ん???

ここで新読者確認です。

英語はあまりに世界で広く使われすぎています。誰でも読めるけれど、誰も自分宛てと思わない可能性も大です。英訳の難しいところです。宛名のないラブレターになってはもったいない。

依頼主に確認したところ、主にヨーロッパとのことでした。

そうなると日本人向けの丁寧な説明部分はかえって冗長、不要となります。ヨーロッパのみなさんは先刻ご承知ですから。チーズの専門家、有名人のインタビュー記事もあまり意味をなしません。かえって生産者の声がかすんでしまいます。

優しいイラストからはもうチーズが薫るよう!

生産者の声にしぼることになり、英訳を始めると…今度は生産者の「日本人向け」のメッセージが気になりました。

「おいしさの感度って他国と日本は違います。日本人はきれいな味が好き。だから日本人シェフたちの意見を聞きながら僕は雑味のない味を目指してきました。」

ごもっともです。日本の地に足をつけた見事なお仕事。ヨーロッパ輸入チーズの強い風味が苦手なひとでもおいしく楽しめるのはこういうたゆまぬ努力あってこそです。

でも、ヨーロッパの人たちにはこう聞こえませんか?
「日本のおいしさの感度は特別です。日本人はきれいな味が好き。他国はきたない味でもいいみたいだけどね。だから日本人シェフの意見を聞きました。他国のシェフのアドバイスきくと雑味のあるものができちゃうかもしれないからね。」

大げさかもしれません。でも、この生産者の方はこんないやな意図で話したわけではありません。ならば誤解の芽はできるだけ摘んでおきたい。そこで、誤解の可能性について依頼主に連絡し次のような修整を打診しました。

「おいしさの感度って地域それぞれです。日本人はどうも繊細な風味が好き。(そうした味づくりに慣れた)日本のシェフたちに相談しました。おかげで気になるいやな雑味のない風味が生まれました。」

するとすぐに協会と広告会社で話し合いがもたれ、これで行こう、ということになりました。迅速かつ柔軟な対応はさすが、とありがたく思いました。

また、日本のチーズを喜んでもらえるのは、ヨーロッパでも多数派の風味がしっかりしたチーズが苦手な人たちだということも見えてきました。(ヨーロッパの友人にいます。気の毒…)

英文はこのとおりです。
“Taste preferences vary from country to country and region to region.Japanese people tend to prefer subtle, delicate flavors. To acheive such flavors without any unpleasant distraction, I consulted with servera Japanese chefs.”

将来、納豆のねばねばと苦さが嫌いな日本人のために、ヨーロッパからさらっとして臭くないナッツのようなフレーバーの納豆がやってきたら面白いですねえ。

翻訳は新しい読者を想定して、ゼロから書くつもりで。人間だもの。

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福島地方紙の大学合格記事に思うこと

持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

福島の地方紙の一面を見て驚いたことがあります。数年前のことですが。

ある東京の大学に合格者が出たというのがトップ記事。嬉しそうなご本人のインタビューも詳しく載っていました。

実におめでたい。でも、この調子で掲載してたら3月いっぱいじゃ追いつかないだろうなあ…

思い出していたのは福島県の高校の風景です。震災以降、私は「県境なき教師団」よろしく出前授業で通訳トレーニングやストーリーテリングを活かしたワークショップを提供していました。

伺うたびに(2時間授業して4時間呑んでいたのですが)感心するばかりでした。福島の県立高校の授業のレベルの高さ、先生方の仲間づきあいの濃さ、私たちへの行き届いたおもてなし…どう見ても支援していただいているのは県外からのこのこ出かけていった私たちでした。

あの感じなら、この大学には毎年30人くらい合格していて不思議はない…あの大学も、この大学も…ん?新聞が足りない?!

ふと、気になったのは記事の中の「十数年ぶり」の部分。

福島と言えばコレ!

え?どうして?

ここから先は憶測の域を出ません。

どうもたくさんの生徒が受験して不合格になったとは思えないのです。そもそも受験していないのでは。

…もしかして、実力はあるのに受験していないのでは。
実際よりその大学は難しいと思い込んでいるのでは。
受かるはずがないと思い込んでいるのでは。
地元を離れてはいけないと思い込んでいるのでは。
いったん地元を離れたら戻れないと思い込んでいるのでは。

いや、先生方がそんな思い込みは解いてくれるはず…

地元の大学も首都圏の大学もくまなく調べて自由に決めたことならよいのです。地元にも専門分野に優れた大学はあります。地元の大学に通いながら家業を継ぐ準備をするのもめったにない幸せな道です。それならよいのです。

ただ、もしかしたら東大の女子率が2割を超えないのと似ている構造があるのかもしれないと妄想しています。女子が受けて合格しないのではなく、そもそも受験するまでのハードルが多いとか。同じようなことが男女のジェンダーではなく、首都圏、地方のイメージの差にあるかもしれません…なんていうのが私の勘違いだといいのですが。

もし勘違いでなかったとしたら…次にやるべきことは酔っぱらい押しかけ授業ではないのかもしれません。

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新年度の参考書、問題集を選ぶなら

こんにちは。持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

中高生の皆さん、いかがお過ごしですか?なんだか出かけにくい?

でも、そろそろ来年度の準備も気になりますね。新学年の参考書や問題集も欲しいでしょう?選ぶの、結構難しくないですか?近所の本屋さんでもなかなか決められない学生さんをよく見かけます。

先生や先輩のおすすめも参考になるけれど、自分にあっているかはわからない…見た目やタイトルに惹きつけられる。でも、中身はどう?…

そんな時、私はこんなふうに選びます。

①たとえば「関係代名詞」のように自分の知りたい項目をひとつ決めます。

②ちょっといいな、と思う参考書数冊で「関係代名詞」について読みます。

③「これを書いた人に会いたい」と思えた本がアタリ。

情報の量やわかりやすさも無視できないけれど、それだけじゃ肝心のところが抜けています。肝心なのは、本の向こうに書いた人が感じられるか、その人に興味を持てるかどうか。

普段の勉強でも、受験勉強でも、「これは自分に関係がある」「自分に宛てて書かれている」「書いた人は自分に用がある」「書いた人に会いたい」という感覚を大事にしてくださいね。この感覚のスイッチを切ったまま、みんなが買ったものを真似して買ったり、親がとりあえず買ってきたものをぼーっとやったりするのはあまり感心しないなあ。

「向こうにいる誰かを感じる」感覚を切ったままでいると、自分がお留守になるからね。そして、そういう人は沢山いる。

私が受験勉強で手ごたえを感じた問題集、参考書は中原道喜さん、伊藤和夫さん、という先生方が書いたものでした。タイトルは忘れてしまったけれど先生方の名前は忘れない。それくらい、日本語での解説にも思いが込められていました。

だから、昔、英検やTOEICを受けた時も、対策問題集や過去問は仕上げにやっただけです。私はあの手のナニヤラ協会が出した問題集には「向こうにいる人」を感じなかったので。

普段は著者の声が聴こえるようなものをたっぷり味わいましょう。

自分にとってぴったりな声を聞き分けるのは自分。

さあ、ご近所の本屋さんへGO! 帰ったら手洗い、うがいをしっかりね。

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言語が変われば性格変わるというけれど

持続可能な未来のための通訳者 冠木友紀子です。

言語は人柄。話す言語によって性格が変わるそうで、こんな研究もあります。確かに英語がある程度身についてくると、こう言い人います。
「私、英語話すと性格変わるの。オープンでポジティブというか自己主張しやすいのよね。」
「そうなんだ…」
英語が苦手なお友達はそう相槌を打つのみ。

何度かこういう場面に出くわしました。そのたび、なんだかいやだなあ、と違和感を覚えました。

何がいやだったのでしょう?ううむ…たぶん…英語話せる人の口調に、「日本語しか話せないあなたが持っていないものを私は持ってるの」と言わんばかりのトーンを感じたのでしょう。そんなつもりじゃないかもしれませんが、英語が苦手な人の方は、そう言われたと感じたような顔つきでした。この図のように。

左は日本語のみ、右は日英バイリンガルさん。

私はこんな風に感じたことはありません。

そして、外国語を習得するとは上のような整数の「足し算」ではなく「割り算」、分数ではないかと思うのです。

ちょっと自分を振り返ってみます。

日本語を話していた子どもの頃から、相手によって自分の声や言葉が変わることが気になっていました。クラスのバカ男子と祖母に同じ話し方をするはずがありません。

言語そのものの違いというより、その言語を使う集団の影響を強く受けた気がします。

英語を習いたての頃は、相手に合わせる、相手の声の個性を聞く余裕なんかありません。誰に対しても同じ話し方でした。

それが、考える前にしゃべってる状態になると、細かく割れてきて…めそめそしがちなインド人の友人の泣き言につき合う時と、押しの強いユダヤ人の先生と議論するときは同じ英語でもまるで気分、態度、言葉遣いが違いました。

まだドイツ語でのご縁は少ないので、このくらい。

外国語を学んで、人の持たない何かを持った気になるとしたら…なんだかちょっと私には違うと思うのです。

足し算ではなく細かく割れてくる。

そのほうが言語中枢の分化などの神経科学にも合うように思います。

足し算発想は直線的経済成長モデルと通じませんか?割り算の方が自由、和に通じるように思います。

私が外国語、文学の達人と尊敬する方々は日本語にも外国語にも感覚が細やかで人に優しく、地に足の着いた方たちです。私もそうありたいのですが!

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字幕なしで英語映画を見るには

こんにちは。持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

字幕なしで映画が見たいという皆さん。日本語の字幕を読みながら英語聞いてませんか?それじゃいつまで無理。聴覚と視覚の科学から見て無理です。

次の順が理に適っていておススメ。近道でも遠回りでもありません。時間はちょっとかかるので短いビデオでどうぞ。

①先に日本語字幕だけ読んで「イメージ化」する。お耳がお留守になっても気にしない。
②英語字幕にして読む。お耳がお留守になってもまだ気にしない。
③英語字幕を読みながら、聴き取ろうとする。
④再生速度を1.5-2倍にして、2分くらい(人によるけど)聴く。わけわからなくてOK.
⑤いつもの速度で再生。びっくりするほど聴き取れます。

めんどくさい?手間惜しみは己に負ける遠回り。外国語学習は心の道です。

私はドイツ語での通訳に備えて、英語字幕とドイツ語音声で上の方法を実践しています。英語でもドイツ語でも

下のビデオはスーフィーのとんち話の人気者、ナスルディンのお話です。②から始められる方は英語字幕を出してごらんください。日本語字幕は自動翻訳でちょっと変ですが、歯車印で自動翻訳を日本語にすれば出てきます。まあ、お手元にお気に入りのDVDがあれば、そちらでどうぞ。

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