「エール」で光子(薬師丸ひろ子さん)が焼け跡で歌った讃美歌は

こんにちは!持続可能な未来のための通訳者・通訳道場主宰の冠木友紀子です。

NHK朝ドラ「エール」で10月16日、薬師丸ひろ子さん演じる関内光子さんが歌った讃美歌が話題です。「うるわしの白百合」の名で知られるこの讃美歌は、讃美歌集に496番として収録されています。

日本でも愛唱される讃美歌のひとつで、母校の朝の礼拝でこの讃美歌が指定されるとなんとなく嬉しくなったものです。讃美歌の分類では「その他・復活」に含められ、なるほど明るくおだやかなメロディーはイエスの復活を静かに喜ぶ心地にぴったりだわ、なんて思っていました。

その讃美歌が空襲の焼け跡に響くとは…。今までにない迫力と深みを感じました。

「キリストはきれいな教会や礼拝堂の中にとどまるのではない。この焼け跡にいる。豊橋の人たちの一歩先を歩いて、その悲しみと苦しみをすでに、すべて、味わっている。そして光子さんの隣りに立ち、一緒に涙しながら、復活を共に誓っている。」

そんなふうに感じました。光子さんもそう感じていたのかもしれません。彼女の声には静かな強さがありました。

さて、「エール」で歌われたのは1番だけですので、3番までご紹介しましょう。

1.
うるわしの白百合 ささやきぬ昔を、
イエス君の墓より いでましし昔を

(おりかえし)
うるわしの白百合 ささゆきぬ昔を
百合の花、ゆりの花 ささやきぬ昔を
2.
春に会う花百合 夢路よりめさめて
かぎりなき生命に 咲きいずる姿よ

3.
冬枯れのさまより 百合白き花野に、
いとし子を御神は 覚したもう今なお
讃美歌より 496番

讃美歌の多くは欧米の讃美歌の翻訳ですが、「歌えるように」「詩を詩に」訳すのは並大抵のことではありません。しかも個人名で業績にするのではなく「讃美歌委員会」の取り組みという扱いです。昨今の「セルフブランディング」や、洋楽におまけでついてくる日本語訳歌詞とは別次元の境地です。

さて、原作はAlice Jean Cleator(1871年1月? – 1926年4月27日?)のBeautiful Lilies.
クリーターはイギリスのマン島に生まれ、アメリカに家族と移民し、オハイオ州で日曜学校のための讃美歌の歌詞を沢山書きます。200ほどもあるとか! 

この讃美歌は、ペテロの第1の手紙、1章3節に基づくとあります。
「私たちの主イエス・キリストの父なる神が、ほめたたえられますように。神は、豊かな憐みにより、死者の中からのイエス・キリストの復活を通して、私たちに新たに生まれさせ、生ける希望を与えてくださいました。」(聖書協会共同訳 )

さて、英語の楽譜はこちら。

脚韻のふみ方が日本語訳詩と違うのでとっても縦長になります。間があくので隣に拙訳を載せてみます。歌うための訳ではなく、もとの英語を示唆するための訳です。

1.
Beautiful lilies,    
White as the snow,
Speak to us softly
Of long ago;
Telling of Jesus,
Who from the grave
Rose all victorious,
Mighty to save.

[Refrain]:
Beautiful lilies,
White as the snow,
Speak to us softly
Of long ago;
Beautiful lilies,
Beautiful lilies,
Speak to us softly
Of long ago.

2.
Lilies of Easter,
Blossoms of spring,
Wake from their slumber
Gladness to bring.
O they are ever
Heaven’s bright sign
Of life beyond us,
Endless, divine. [Refrain]

3
E’en as our Father
From winter’s night
Waketh the lilies
To summer’s light,
So His dear children
His love will keep,
Waking them softly
From death’s long sleep. [Refrain]
1.
うるわしの白百合
白きこと雪のごとし
語りませわれらに、優しく
遠き昔を
イエス君のことを
墓より
立ち上がり 全て勝ち
力強く救い給う君のことを

[折り返し]
うるわしの白百合
白きこと雪のごとし
語りませわれらに、優しく
遠き昔を
うるわしの白百合
うるわしの白百合
語りませわれらに、優しく
遠き昔を

2.
イースターの百合よ、
春の花よ
まどろみから目覚め
喜びをもたらす。
おお、百合の花とこしえに
天に輝き印す
命は、我らのかなたに
終わりなく、聖し。

3
なおも我らが父は
冬の夜から
百合を目覚めさせたもう
夏の光へと。
そのように子らをも
御父は愛もて守りたもう
子らを優しく目覚めさせたもう
死の長き眠りより [おりかえし]

実は…私は英語より讃美歌の日本語詞の方が成熟して、抑えがきいていて、無駄がなくて、心に響きます。speak softlyは英語の韻のや言葉数あわせでこうなっていますが、「ささやきぬ」とはお見事。さすが、文語韻文。

なんと!こちらに藤堂先生のお母さまが歌う「うるわしの白百合」がありました。
森山良子さんの歌声が、みなさまの慰めと励ましになりますように。

冠木友紀子のプロフィール

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洋楽歌詞、本当はこう歌ってるのでは?―Deacon Blues by Steely Dan

こんにちは。持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

便利な世の中になりました。でも何でも検索できると思ったら大間違い。自分の知らないことは検索できない。知らない音楽は聴けない。だから人に教わるのがありがたい。

訳詞に満足できない、とM姉さんがSteely Danを教えてくれました。以来すっかり気に入っています。今日はDeacon Bluesをとりあげます。

それにしても、かっこいい。洗練されてる。なによりあの半音が心地よい。MUと呼ばれるコード(CソドミをCmuソレミにずらす。ドとミのあわいが際立つ)は12世紀の聖歌からひとの耳になじんだものだそうで。

いろいろな楽器が繊細な音のレイヤー重ねていくようで、ヴェールペインティング(層技法絵画)を想います。すべての楽器が輝いているのに、どれも野暮な主役を主張しない。さらりと主役を交代していく。

Steely Danに参加したプレーヤーが言っていました。「考え尽くす、試し尽くす、完璧にする。さらに完璧の先を行く。それが自然なんだ」と。

フェイゲンはこの曲をベッカーと振り返って、「なんか俺、ジェリー・ルイスみたいな声出している」と言っています。ジェリー・ルイスといえば寄り目のアクションを志村けんが取り入れたとか。我らが志村けん、同じ年ごろのSteely Danを聴いていたのでしょうか…

さて、少しずつご一緒に。原詩の右端の数字は韻の目印です。

 This is the day1
Of the expanding man2
That shape is my shade1
There where I used to stand2
It seems like only yesterday1
I gazed through the glass3
At ramblers4
Wild gamblers4
That's all in the past3

今日こそは
意識拡張者の日
その姿は俺の影だ
そこはかつて俺が立っていたところ
つい昨日のようだ
グラス越しにじっと見た
ごろつきどもを
荒くれ勝負師どもを
すべては過ぎたこと

2行目のthe expanding manはアルフレッド・べスターのSF小説「破壊(分解)された男」に登場する人物。思考と意識を自分を超えて拡張できる能力があるとか。地元の図書館が再開したら日本の文庫版を確認してきます。

3行目まではこれからナニヤラ大きなことが始まる気配ですが、4行目以降で語り手の現在はどうもイマイチ、ブイブイ言わせていたのは昔のことらしいと察せられます。なるほど、この曲はアメリカでは中年の危機にある人々に愛され続けているそうです。

man とstand、 glassと pastで韻と言えるの?と思われるかも知れません。綴りとしては不完全な韻です。でも歌をお聴きください。ばっちりです。歌は母音が長くなって強調されます。おまけにフェイゲンは行末の子音を柔らかく歌ってますから丁度いいです。

You call me a fool1
You say it's a crazy scheme2
This one's for real1?2?
I already bought the dream2
So useless to ask me why3
Throw a kiss and say goodbye3
I'll make it this time4
I'm ready to cross that fine line4

お前は俺をばかという
血迷った企みだという
これは本気だ
もうこの夢は買った
だから無駄だ、なぜと訊いても
投げキスしてさよならだ
今度はきっとやってやる
覚悟してる、あの一線を超えると

おや、Youが登場。誰なんでしょうね。フェイゲンはインタビューでこんな風に言っています。

“‘Deacon Blues’ is about as close to autobiography as our tunes get. We were both kids who grew up in the suburbs, we both felt fairly alienated. Like a lot of kids in the ’50s, we were looking for some kind of alternative culture, an escape from where we found ourselves.”
「Deacon Bluesって僕らの自伝みたいなもの。二人とも子どもの頃は郊外で育ったけど、すごく疎外感があった。50年代、多くの子どもたちと同じように僕らもなんらかのオルタナティブな文化を探してた。実際の居場所からの逃避としてね。」

どうも「夢から覚めろ。現実を見るんだ。それじゃ食えないぞ」てなことを言うドリーム・ブレイカーのようです。

さて、コーラス?サビの部分です。改行がうまく表示されるといいのですが…

I'll learn to work the saxophone1
I'll play just what I feel2
Drink Scotch whisky all night long1
And die behind the wheel2
They got a name for the winners in the world
I want a name when I lose 3
They call Alabama the Crimson Tide4
Call me Deacon Blues3

ものにするんだ、サックスを
ただ感じるままに吹き鳴らす
スコッチ夜通し飲み明かし
死ぬんだ、車運転しながら
世間は勝者に呼び名を与える
俺は名が欲しいのは負けの時
アラバマ大がクリムゾン・タイドなら
俺はディーコン・ブルースと呼んでくれ

ははあ、夢とはサックスを吹くことだったのですね。あら、音楽教室に?いえいえ、3行目から穏やかじゃありません。練習どころか飲んだくれて飲酒運転交通事故死。ちょっとちょっと!!

5,6行目。持つ者はますます名実ともに持つようになり、持たざる者は…の世の中なのですね。アメリカが代表する20世紀後半はことさらにそうなのでしょう。(当時斜陽だったイギリスは昔から勝負によらず王様にもじゃんじゃん渾名つけていますけど。エドワード懺悔王、獅子心王リチャード、ジョン失地王、ヘンリー8世は…)

クリムゾン・タイドとはアラバマ大学を代表するのさまざまなスポーツチームの称号。クリムゾン、深紅は大学のシンボルカラー。それが次々大波のように襲ってくるというイメージです。当時アメフトチームは常勝の強豪でした。

フェイゲンは敗者にこそ称号をと歌います。源義経、天草四郎、浅野内匠守、新選組、出番です!日本人の敗者を想う文化はThe Nobility of Failureに Ivan Morrisがまとめています。

さて、Deacon BluesをWake Forest Universityの弱小フットボールチーム、Demon Deaconsに由来するとする説もありますが、フェイゲン自身が否定しています。これはDeacon Jonesというフットボール選手に由来するそう。攻撃的でぶちゃむくれ(谷啓語)なプレースタイル、人柄で知られました。フェイゲンはDeaconが2音節なのでCrimsonと合うのもいいと思ったそうです。このDeaconを「助祭」としている訳を見かけました。残念、これは固有名詞でした。

My back to the wall 1
A victim of laughing chance 2
This is for me
The essence of true romance 2
Sharing the things we know and love 3
With those of my kind
Libations 4
Sensations 4

背水(壁?)の陣
声上げ笑うチャンスの生贄
これは俺のもの
本物の恋のエッセンス
分かちあうんだ 俺たちが知り、愛することを
俺と似たような連中と
献酒と
昂奮が
心によろめく

英語でBack to the wallを背水の陣、とすると耳には心地よくても景色が違うなあ、と悩ましいです。ここでちょっと目立つ言葉はvictimとlibation。後者は要するにお酒ですが、alcohol, drinkでは韻が台無し。それにlibationは生贄を捧げるときに大地に注いだりするお神酒、献げものとしてのお酒をさします。2行目のVictimと響き合うでしょう?それにしてもチャンスがlaughing…って。笑うにもいろいろあります。静かににっこりはsmile,歯をむき出してバカにしたように笑うのはgrin.laughは「声をあげて笑う」。生贄をほふりながら声を挙げて笑う…grinより却って怖いです。力が抜けそう…

I crawl like a viper 1
Through these suburban streets 2
Make love to these women
Languid and bittersweet 2
I'll rise when the sun goes down 3
Cover every game in town 3
A world of my own 4
I'll make it my home sweet home 4

俺はマムシのように這いまわる
町外れのこんな通りをうろうろと
そして愛を交わすのはこんな女たち
けだるく、ほろ苦い
俺は起き出す、日が沈む頃
町中のあらゆるゲームを把握する
俺自身のひとつの世界
楽しい我が家にしてみせる

サックスの練習はどうしたの?そもそも「練習」するつもりはないのかしら。さて、ここで町外れと町中の対比が気になります。語り手は町中の様子は把握しているけれど、そこにはいない。微妙な疎外感が最後の一行でかえって気になります。

蛇と女の組み合わせは、エヴァと誘惑者としての蛇を連想します。ミルトンの「失楽園」ではこの蛇は天使ルシファーの堕ちた化身とされます。ルシファーは天上で自分が一番神に愛されていると思っていたのにもっと愛されている子なる神が登場。これに怒り反逆の戦いを挑むものの敗残、サタンに変えられ、神が愛する人間をたぶらかそうと地上を目指します。このサタン、近代の人間の自由の苦しみとロマンティシズムの原点、と人気があるんです。Deacon Bluesに通じるでしょうか。

 This is the night 1
Of the expanding man 2
I take one last drag
As I approach the stand 2
I cried when I wrote this song 3
Sue me if I play too long 3
This brother is free 4
I'll be what I want to be 4

今夜こそは
意識拡張者の夜
俺は最後の一服吸って
ステージに向かう
俺は泣いた、この曲書きながら
言ってくれ、長くやりすぎたら
この男は自由だ
俺は在りたい俺でいる。

いよいよ演奏のチャンス到来でしょうか。Sue me起訴してくれ、とする訳も見かけました。でもSueはもともと「求めてor手を引くように請う」ことを指します。「おい、いつまで吹いてんだよ。いい加減にしろよ」と言っていいよ、ということでしょう。でも、演奏の途中に伝えるって相当大変…。

さいごのI’ll be what I want to beは「俺はなりたい俺になる」でもいいと思います。ただ、「なりたい自分になる」は自己啓発で使い古されたポジティブ表現。「成る」に10代のようなナイーブさを感じるのは私だけでしょうか。語呂の事情もあるしょうが、ここはbeの「在る」の禅語を思わせるニュアンスを遺したいと思いました。

長文、おつきあいありがとうございます。

ときどき、洋楽の詞なんて適当だという洋楽マニアの日本人を見かけます。そういうアーティストもいるかもしれません。ただ、Steely Danに限って言えば、サウンドをデザインし尽くしているのに、詞が「テキトー」なはずはないと考えます。「酒」ひとつとってもイメージのつながり、韻といった条件からlibation を選ぶという手の込みようです。

洋楽の詞を深く理解するには「言語の技法・作法」という扉を開ける鍵が必要です。鍵を持っていないからと言って扉がないことにしてはなりません。

私たちも完璧の先の自然を求めています
通訳道場★横浜CATS

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Steely Dan  Black Cowの歌詞を探検、訳詞で冒険

友に導かれて新しい世界に出会うのはなんとスリリングなことでしょう!

おちゃめなM姉さんからSteely DanのAjaというアルバムを教えてもらいました。全曲、あるいはこの2曲をとBlack CowとDeacon Bluesの訳詩をお望みです。まずはBlack Cow(ルートビアにバニラアイス!どんな味やら。)から…

とはいえ大変!ブログなどで訳詞を紹介する人たちは、ほとんどファンかそのジャンルの専門家。訳詞にも自信満々。でも英詩の作法や日本語の専門家ではないでしょう。

ところが私はその真逆。先月の今頃はSteely Danの名前さえ知りませんでした。聞いてみたら、あ、聞いたことある、というくらい。英詩と日本語表現にはうるさいですが、 Steely Danについてはからっきしです。 チャゲアスのことなら私が一番理解していると任じていますが、

そういうわけで、これが答えだ!ではなく問いを連発することになりそうです。50点の出来としてご海容ください。プラゴミじゃないと思います。

Steely Danの作品を聴いてみると…カッコいい、おしゃれ、クール、都会的、オトナ、洗練…そんな言葉が思い浮かびます。

細部まで計算しつくされた都会の建築のようで、心地よい流れはあるけれど、うっかりノリに流されることはなさそうです。

さて、Black Cowを聴いてみると…あれれ?歌のない時間が結構あるのね。第九とは対照的。「フロイデーシェーネルゲッターフンケントホターアウゼリージウム!」もう合唱で埋め尽くされています。それに比べるとなんて言葉少な…

歌詞を聴いておや?

単語は単純なものばかり。でもその組み合わせが文としては不思議。They saw your face.単語としては中1でもわかるけれど、Theyって誰?どんなface?

そう、説明しないのがニクい。形容詞がほとんどないんです。形容詞がありすぎると嘘くさくて、野暮で、レースだらけな下着みたいになりますが(自称芸術家の文章に多い)こちらはスポーツ下着みたい。なんだかそっけない。聴き手に向けて説明するそぶりなし、と感じましたが、どうでしょう?

そもそも、語り手の男性と、相手の元彼女のような2人の間にも会話は成り立っているののでしょうか。どこかひとりごとのようにも聞こえます。

そして現在単純形ばかり。現在単純形は日は東から昇り、西に沈む、のように永遠に変わらない、反復することを切り取る表現。別に今だけのことじゃなく繰り返す。何月何日、と具体化できる過去のリアリティもありません。ひとつのストーリーとしての始まりと終わりが定まらない…ひとつの物語として語ろうとすると突き放される感じです。そのほうが、おだやかでない状況をクールに奏でるこの曲に合っているように思いますが、どうでしょう?

「君はグリーンストリートで大暴れしたらしいね」という訳を見かけましたが、これはお話を作りすぎかも。ジャーナリズムじゃないんです。また、a book of numbersを旧約聖書としているのも見かけましたが、これはthe book of numbers民数記と取り違えたのでしょう。a, theを甘く見てはいけません。電話帳を a book of numbers というのは普通ではありませんが、ここは語調、曲調からa phone bookでは字足らずです。

Steely Danの公式サイトから下に歌詞をコピペしますが…韻を踏んでいます。各スタンザごとに番号を振りました。韻を踏んでいるということは、音がテクニカルに単語選びを大きく左右しているということです。単語ごとに辞書を見ていてはらちが明きません。なんだか歌詞も楽器のひとつのようです。このひとたち、詞が先?曲が先?もしかしてメロディーラインが先?

また、公式サイトにご本人たちがこの曲について語っている動画もありました。「作品の説明なんかさせるなよ」とでも言いたげな様子です。この曲については30分くらいからどうぞ。それにしてもこの人たちの風体…

心をこめて訳そうとすると、自分の感覚で言葉を足しがちです。でも、元の詩のスタイルがモンドリアンのように幾何学的なのに、ご親切に日本語にしたらラファエルのようだったら…。自分の解釈を訳から全く排除することは願ってもできません。でも、そうしようと努め、それでも残る訳者らしさが信頼されるようでありたと思います。

Break away when it seems so clear that it is now over のところはまだ会心とはいきません…別れた女をどう呼ぶかも悩ましい…お目汚しでございます。日本語でも韻を踏み過ぎるとあざといのでちょっと外しました。放っておくと七五調になりますが、それは気をつけてひっこめました。

In the corner 1
Of my eye 2
I saw you in Rudy's 3
You were very high 2
You were high 2
It was a cryin' disgrace 4
They saw your face 4
On the counter 1
By your keys 2
Was a book of numbers 3
And your remedies 2
One of these 2
Surely will screen out the sorrow 4
But where are you tomorrow 4
I can't cry anymore 1
While you run around 2
Break away 3
Just when it 4
Seems so clear 5
That it's 4
Over now 6
Drink your big black cow 6
And get out of here 5
Down to Greene Street 1
There you go 2
Lookin' so outrageous 3
And they tell you so 2
You should know 2
How all the pros play the game 4
You change your name 4
Like a gangster 1
On the run 2
You will stagger homeward 3
To your precious one 2
I'm the one 2
Who must make everything right 4
Talk it out till daylight 4

I don't care anymore 1
Why you run around 2 
Break away 3
Just when it 4
Seems so clear 5
That it's 4
Over now 6
Drink your big black cow 6
And get out of here 5

ちらっと
見かけた
ルーディズにいたろ。
君、とてもハイだった
ハイだった。
泣けるほど見苦しくて
奴らが君の面眺めてて。

カウンターには
君の鍵、
そばに一冊の電話帳と
君の薬。
このどれかが確かに
悲しみせき止める
でも君、明日はどこにいる。

もう泣けない
君が遊びまわって呆けても。
縁を切るんだ
とにかく
どう見ても
もう終わりと思ったら。
でかいブラッカウ飲んだら
ここを出るんだ。

グリーン街へと
君は繰り出す
途轍もない姿で。
奴らもそう君に言う。
わきまえろ
プロの手を。
君、名前を改めろ。

ちんぴらが
逃げるように
君は千鳥足で帰る
大切なひとのもとに。
僕はといえば
ひたすら後始末。
話し尽くそう夜明けまで。

もう気にしてられない
君が遊び回っても。
縁を切るんだ
とにかく
どう見ても
もう終わりと思ったら。
でかいブラッカウ飲んだら
ここを出るんだ。

通訳道場★横浜CATSはこちら

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【洋楽を深く楽しむ】See mercury falling in Lithium Sunset by Sting スティングの「リチウム・サンセット」、See mercury fallingは温度計か水星か

持続可能な未来のための通訳者、通訳道場★横浜CATS主宰、冠木友紀子です。「洋楽の訳詞が腑に落ちないけれど、原詩の解釈も?な楽曲をお知らせ下さい」とSNSで呼びかけたところ、さっそくKさんからコメントいただきました。

スティングSting のMercury Falling というアルバムに収録されているLithium Sunsetという曲についてです。この曲の最後のSee mercury fallingが「気温が下がってきた」とされているのを訝しんでおいでです。これは水星のことでは、とすでに自説もお持ちです。

あわてていろんな訳詞マニアのサイトを見て回ってちょっと肝を冷やしました。通翻訳は外国語ができるだけじゃだめです。ものを知らなければいけません。

結論から申します。水星で結構です。でも空の水星だけじゃありません。

温度計の中の水銀が下がる、ならthe level of mercuryでないと少し雑な感じです。また、この歌は疲れ切った魂の甦りの始まりを描いています。その歌の終わりで夕闇迫り来るとはいえ、8回も「気温が下がってきた」はお寒いです。

ただ、水星、とするにはひとつ気になる点がありました。mercuryのmが小文字です。標準的には、水星なら大文字ですが…まあ、字の大小はタブーというほどではありませんが。こういうときは、訳詞マニアのコピペ歌詞ではなく、スティングさんのサイトで確認するに限ります。

スティングさんご本人のサイト

おや、小文字だわ。

でも!その下のインタビューでスティングさんがこう言っています。
「これはレイクハウスで書き、録音した2枚目のアルバムです。こうしてずっと家族と一緒に家で過ごすのが僕には楽しかった。以前はホテルの部屋やコンサートホールで人生の大部分を過ごしてきたからね。だから、やっと現実の人生を生きている実感があったんです。子どもたちが午後学校から帰って来ると、家族揃って夕食をとったものです。ごく普通の家族のように。このアルバムタイトルにあるように、なにより私の水星的生活もバランスをとり始めて、やがて根を下ろそうとしていました。以前は「落ち着く」なんてクリエイティブにはとんでもないと決め込んでいたんですが、試してみたくなったんです。試す権利が自分にはあると感じてもいました。」

ここで「温度計じゃなくて水星」だ、と安心しては不十分です。「水星的生活」を理解するには、水星の動き、象徴的意味を知っていることが大切です。Mercury水星は俊足の商売の神様(merchant商人、メルカリmercariと同語源)。あちこちを駆け巡り、人と人、物の動き、コミュニケーションを促します。優秀な営業マンでしょうか。売れっ子ミュージシャンの生活そのものです。

つまり、mercuryは空の水星でもありスティングさん自身でもあるのです。そうなると小文字なのもうなづける気がします。大文字にしたらあの空の水星一点張りになりかねません。

スティングさん、真面目なキリスト者としても知られています。昨年、久しぶりにお目にかかった高校時代の数学のM先生が、バッグの中から雑誌のコピーをとり出し、下さいました。それはスティングさんの家庭生活をめぐるインタビュー記事。「このスティングさんという方は神様にも人々にも大変誠実で素晴らしい。感動したので皆さんにコピーを差し上げています。」とのこと。御年80に近い先生の眼差しは青年のようでした。

そのことも踏まえて歌詞を読むと、リチウムの真紅の炎のような夕焼けはまさに太陽になぞらえられる、キリスト存在とも思われます。大きな太陽が小さな水星を慰め、抱きとめる美しい風景が思い浮かびます。

リチウムや黒曜石のイメージの広がりも魅力的ですが、あんまり長くなるといけませんので、また別の折に。それにしてもIを我、俺、僕、オラ、おいどん、悩ましいこと。

Fill my eyes
O Lithium sunset
And take this lonesome burden
Of worry from my mind
Take this heartache
Of obsidian darkness
And fold my darkness
Into your yellow light

I’ve been scattered I’ve been shattered
I’ve been knocked out of the race
But I’ll get better
I feel your light upon my face

Heal my soul
O Lithium sunset
And I’ll ride the turning world
Into another night

See mercury falling…

満たせ、僕の目を
おお、リチウムの夕焼けよ
取り去れ、この憂いという
寂しい重荷を僕の心から。
取り去れ、黒曜石のように
暗いこの心の痛みを
抱きとめよ、僕の闇を
君の黄色い光のうちに。

木っ端微塵で、打ちのめされて
レースからも放り出された
でも、ここから僕は甦る
感じるよ、君の光をこの頬に

癒せ、僕の魂を
おお、リチウムの夕焼けよ
僕も巡りゆく世に跨り向かおう
次の夜へと

ごらん、水星が沈みゆく

Stay Home を英国プロのストーリーテリング、The Whispering RoadでEnjoy Homeに。そのまま語れる冠木友紀子の日本語訳小冊子と英語スクリプト(英国にもありません)がついています。

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驚きの明治洋楽「きよしこの夜」に【蚊】が登場!

きーよしー、こーのよーる。もうあのメロディーが聞こえてきましたね。

まったく季節外れですみません。実は来週、あるイベントでこの歌を母校フェリス中高のOG合唱団有志が歌うのです。(私は発声と呼吸の修行が通訳にも参考になると思い、この合唱団に参加しています)

そのイベントは横浜山手芸術祭の一環としてイギリス館で開かれる「明治・山手の丘に流れるメロディー」。「きよしこの夜」を含め、明治の横浜に入ってきた讃美歌や、外国人居留地周辺で生まれた新しい労働歌を振り返ります。

「きよしこの夜」として知られるあの讃美歌はもともとドイツ語。ヨーゼフ・モールの詩にフランツ・X・グルーバーが曲をつけたもので初演は1818年、オーストリア、オーベンドルフの聖ニコラウス教会のミサと言われています。

もとの歌詞1番はこんな感じです。

Stille Nacht, heilige Nacht,
Alles schläft; einsam wacht
Nur das traute hochheilige Paar.
 (Nur das traute heilige Paar.)
Holder Knabe im lockigen Haar,
Schlaf' in himmlischer Ruh'!
 (Schlafe in himmlischer Ruh'!)
Schlaf' in himmlischer Ruh'!

いま、皆さんが讃美歌109番、第二編244番としておなじみの歌詞は、由木康先生の訳です。

きよしこのよる 星はひかり
すくいのみ子は まぶねの中に 眠りたもう、
いとやすく

それが!なんとクリスマスとはちっとも関係なく、日本の静かな宵の情景として歌われていたというのです。

作詞したのは書家で歌人の阪正臣(ばんまさおみ)氏。いったいどういう経緯で新たな日本語詩を作ることになったのかは21日のお楽しみ。イギリス館へぜひお出かけください。

小雨止みて 庭は暗し
月はなど遅きぞ 端居(はしい)して待つ間に 
不如帰(ほととぎす)ただ
高くひと声

霞晴れて 星は照れり
小簾の隙漏りきて(おすのひまもりきて) 橘ぞ薫れる 
水鶏(くいな)さえいま
遠くひと声

小田の早苗 緑涼し
蛍追う子は去り 風もなく吹くるよ 
耳元に蚊の
細くひと声 

なお当日は3番を割愛するそうです。気の毒な蚊の出番と思って、ぜひ「きよしこの夜」のメロディーに合わせて口ずさんでみてください。

持続可能な医療・農業・教育のための通訳者 冠木友紀子プロフィール

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気になる洋楽歌詞和訳【On My Way】 by Alan Walker, Sabrina Carpenter & Farruko

通訳道場の悦子さんにすごい人のことを教えてもらいました。

アラン・ウォーカーという音楽プロデューサーです。
いや、この人すごい。
10代の頃からPCで楽曲制作、どんどんYouTubeに上げて、あっというまに大ヒットメーカー。それでもいつもパーカかぶって顔をかくしているとか…。ソニーの公式ページによるとまだ21歳ですって?

ITを駆使した時代の寵児、天才です。

なんでも、アラン・ウォーカーAlan Walkerとサブリナ・カーペンターSabrina Carpenter、ファルッコFarrukoがコラボした楽曲『オン・マイ・ウェイ On My Way』が気になって、検索してみたら腑に落ちない和訳が目についたのだそう。

私も調べてみました。

いやあ、ネットのおかげで誰でも発信できるようになりました。

アラン・ウォーカーのような才能が世に出るのと同様、
いまいちな情報も出まくりです。

すべて注釈を入れるのはご容赦願いまして、気になるところだけ…

I’m sorry but 
Don’t wanna talk
I need a moment before i go
It`s nothing personal①

I draw the blinds
They don’t need to see me cry
Cause even when they understand
They don’t understand

So then when I’m finished
I’m all ‘bout my business
And ready to save the world
I’m takin my misery②
Make it my bitch③
Can’t be everyone’s favourite girl

So, take aim and fire away④
I’ve never been so wide awake⑤
No, nobody but me can keep me safe
And I’m on my way
The blood moon is on the rise⑥
The fire burning in my eyes
No, nobody but me can keep me safe
And I’m on my way

すまないけれど
話したくない
少し時間を、発つ前に
悪気はないの

ブラインド降ろす
あの人ら、私の涙見なくていい
だって、わかってるつもりで
わかってない

だから、すべてが済んだら
私はやるべきことをやる
すぐにだって世界も救える
自分の惨めさ引き受けて
すごい玉にしてみせる
みんなのかわい子ちゃんじゃいられない。
だから、狙い定めて撃ち尽くす
こんなに冴えてたことはない
私のほかに誰も私を守れはしない

私は私の道をゆく
紅月が昇りゆく
私の目にも炎が燃える
私のほかに誰も私を守れはしない

私は私の道をゆく

別に都都逸や演歌にするつもりはないのですが、どうも調子づいてしまいますなあ。

①これは個人的なことではない=私的な悪意ではない、ということ。IRAを描いた映画でNothing Personalというのがありましたねえ。

②takeの基本のしぐさは自分の領分の外にあるものごとに手を伸ばし、領分内に引き入れる動き。「惨めさを振り払う」という訳はoffの幻を見てしまったのでしょう。いやなものをさっさと振り払っていては本当の変容は無理です。

③ここは難所。bitchはson of a bitchでご存知の通りあばずれな雌犬。ただ、極端な意味の単語はわざと反対の意味で使われることも。英語ならwicked、日本語なら「ヤバい」がその例。この歌全体として今のどん底状態から「逆転」を宣言していると考えると、「あばずれ雌犬」の逆の意味と解釈するのが自然。ただ、「素晴らしい女性」なんて訳すといきなり「家庭画報」の世界になってしまって、ビッチの音の響き、逆転の妙味が活きません。そこで、「玉」としました。

④awayはホームとアウェイのアウェイだけではなく、間断なく続ける様子、完全になされる様子を表すこともあります。この場面、狙い定めて一発撃ってありゃ、外れ、失敗!ではいかんのです。一発でしとめられればそりゃ結構ですが、この主人公はon my wayと続く自分の道を歩む、つまり継続を覚悟しているようですから、撃ち「尽くす」としました。

⑤ここは睡眠時無呼吸症候群のような誤訳が多いです。「こんなにすっきり目覚めたことはない。」この人、寝起きだったのですか?それならI have never woken up so refreshed.とかでは?awakeは目が覚めている状態。 wideは十分に開いている、という意味。widelyではなく wideと組み合わせる語は限られていて意味にも注意が必要です。私がこの表現に出会ったのは17歳のとき。カーペンターズの I Need to be in Loveの一節でした。I’m wide awake at four a.m. without a friend in sight. Hanging on a hope but I’m alright.のところ。これもまた気の毒な状況ですが、この歌の邦題は「青春の輝き」。

⑥ブラッドムーンは皆既月食のときに見えます。その月影が目に移り込んで炎のようだというんですから、尋常じゃありません。まあ、気が済むようにするしかありませんけどねえ。

いかがでしたか?私も絶対これが正しいなんて思っているわけでもありませんので、どうぞ皆さんのご意見をお聞かせください。

カーペンターズとチャゲアスがmy wayの冠木友紀子のプロフィール

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某女子大必修英語が面白い

なぜそんな仕事を?通訳や通訳養成に比べて割に合わないでしょう?

まあ、おっしゃる通り。割に合いません。はじめは「しばらくしたら通訳の授業が回って来るから」なんて言われて信じていたけど。

そういう問題じゃなく、面白いんです。

本物で包囲してくれた母校。

私がまるでだめなヴァイオリンで体験していることが活きるのを感じます。

2小節も進まないうちにストップ。表現や感情の自由どころではない。でも、そこにはゆるがせにしてはならない、ごまかしたら先に進めない要点がある。

この必修のクラスには「文法、発音は気にしないで」と言われて、きちんとしたいのにきちんと向き合われなかったという空気のある人たちが沢山います。

そりゃ、自分でいくらでも調べる人もいるでしょう。でも少数派。それを多数派にするのが先生の仕事だと思うのですが。

たとえば、in, on, atと次元の関連…
l, m, n, の発音…
心拍、呼吸と横隔膜、大腰筋…

そんなディテールをつきつめると、ぱっと花咲く顔が少なくないのです。

このクラスの半分は日本文学、音楽専攻。この授業が最後のフォーマルな英語かもしれない。ならば、最も深い納得とともに送り出したい。もう半分がクラスメートの日本語、音楽への知見に学びながら、通訳後継候補者になればなんとうれしいこと。

手ぐすね引いて待ってます。

冠木友紀子のプロフィール


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通訳者の仕事が加齢で劣化しないコツ

えっ!ビックリ。そんなこと考えたこともない。「通訳さんも年とともに仕事がつらそうで。」声の主はメディア関係の30代の男性。「私のこと?」「いえいえ!」

なんでもベテランの通訳さんを手配したものの、安心して任せることができなかったそう。何が気になったのでしょう?記憶力?理解力?訳語の選択?発声?持続時間?いろいろ聞いてみても首をひねるばかり。ああ、こんな専門的な訊き方をした私が悪い。どんな感じだったか話してもらいました。

「なんだか、よくわからないんですよ。たぶん、訳としては正しいのだけれど、伝わってこないんですよ。」

あ、わかった。

この青年、「劣化した」ベテランさんとのおつきあいはここ2年とのこと。ということは、彼女が30代の頃どんな仕事をしていたかは知る由もありません。だってまだ幼稚園生のはず。

もしかしたら、劣化、と言ってくれた彼の方が優しいかもしれません。

私はちょっと厳しいことを言います。でも、その方がこの先が明るいんです。

このベテランさん、はじめからその調子だったのだと思います。

ちょっと五線譜と演奏のたとえを使ってみます。

こりゃ老眼には厳しい…

昔は五線譜を読める人が珍しかった。だからおたじゃまくしの通りに歌えるだけで、周りはおーっとびっくりしてくれた。誰も曲想どころじゃなかった。

でもそのおたまじゃくし出力は作曲家の頭の中にあった音楽とは違いますよね。音楽の骸骨くらいかもしれないけれど。

英語も昔はそんな感じだったのでしょう。daisyが雛菊と化けるだけでおおーっと感心された。

でもね、今は「音楽表現、演奏」が求められているのです。「雛菊」といっても誰がどんな思いをこめて見ている雛菊なのか伝わって当たり前なのです。しょぼい安物の花なのか、ワーズワースが見ていた、けなげな努力を頑固に続ける花なのか。

時代が進んで、英語を使う人が増えたので仕事が高度になったわけではありません。

本来の姿が現れるだけのこと。

劣化ではなく、本来の姿に到達していないだけです。

本来、言語表現にも音楽と同じようにクレッシェンドやらスフォルツァンドやらスタッカートやら…いろいろな音楽記号がついています。

それを切り捨てておたまじゃくしだけ鳴らして良しとする権利は通訳者にはありません。音楽の世界では許されないことが、通訳の世界では許されるなんてことはありません。言語は音楽です。

じゃあどうしたら?という皆さん。老若にかかわらずおすすめがあります。

感情(曲想、音楽記号)をたっぷり含む英語映画、ドラマをよく聴いてインプット、シャドウイング、アテレコでアウトプットしてみましょう。

そして、日本語も磨くことです。標準語ならNHKの森田美由紀さん(チコちゃんのあのブラックなナレーション。20年前から彼女は通訳学校でも称賛されていました)。できれば振れ幅の広い話芸に耳をならしてください。なんといってもおすすめは落語です。

通訳道場では「外郎売の口上」まる暗誦が必須です。全員、クリアーしています。寿限無も加えようかしら。→【通訳道場★横浜CATS第5期】

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人は生まれ変わる?

人生は一回きり!と信じてもいいし…
人は生まれ変わる!と信じてもいい。

でも、どっちかは正直いってわからない。

まあ、そういうことは死んでみなくちゃわからないし、
死んじゃったらわからないかも。
そんなこと考えてる暇があったら今日に集中!

なんて私は思っていました。

でも、このごろ、死ななくても人は生まれ変わり続けていると
思うことが多いのです。

どういうこと?

半年くらい前のこと。通訳道場のEさんと毎日のようにやりとりしていました。友人Tさんの紹介で出会ったEさんとはびっくりするくらいご縁があって…

ふと思ったのです。去年の今頃、私はEさんがこの世にいることすら知らなかった、と。その頃の自分を思い出すと、前世としか言いようのないほど遠く感じられました。

その変化は、ああなりたい、こうなりたいと自分のアタマで考えるよりずっとダイナミックであるように思われました。

(まあ、出会いといっても誰でもOKではなくて、昼間のアタマが考えるのとは違う次元でなんらかの選択はしているのでしょうけれど。)

ずっと前からTさんの世界にはEさんと私の両方が存在していたことも不思議です。

あなたがすでに知っているAさんをBさんに紹介することが、それぞれが生まれ変わるくらいの体験につながる。

人は出会いで生まれ変わる。

それってちょっとステキなことだと思いませんか。

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クリスマスの悲しみ―コヴェントリ・カロル

今週末のキャロリングに選んだ2曲目はコヴェントリ・カロル。
アイルランドのヴォーカル・グループ、ANUNAの声は美しい…けれど
なぜクリスマスにこんな悲しげな…? サンタさんもしょんぼりします。

いったいどうしたのでしょう。

昔々、テレビもYouTubeもなかったころ、クリスマスやイースターとなると町の人々が小さな山車を仕立てて聖書の場面を飾ったり、演じながら町を練り歩いた(ページェントPageantという)ものです。

聖書の場面ですからクリスマスツリーもプレゼントもディナーもまだ影も形もありません。

聖書が描くのは王とはかけ離れたイエスの誕生とエジプトへの逃避行。イエスの誕生を天使に告げられた羊飼いたちはまっすぐベツレヘムの馬小屋にやってきます。ところが東方の賢者たちは星をたどり、賢いはずなのになぜかヘロデ王のもとに参上、「新たな王はどちらに」などと間抜けなことを訊いてしまうのです。ヘロデは「そんなこと聞いてない。こりゃアブナイ」となり幼児虐殺を命じます。イエスは両親に守られてエジプトに逃げますが、多くの少年が犠牲になったとされています。

このカロルはそのときの母親の思いを歌っています。起源は14世紀~16世紀と諸説幅がありますが、コヴェントリ(コーヴントリといったほうが音が近い)の町で演じられた「毛刈屋と仕立屋のページェント」に収録されています。なんだか村歌舞伎みたいですね。

(コヴェントリの大聖堂は第二次大戦中にドイツ軍に爆撃され大破しました。ところがその後司教が捧げた「Father Forgive」という祈りに復讐を望んでいた人たちも絶句することになります。これはまた別稿にて。)

さて、訳の語調はいろいろです。「めんこいややこ」「あねさまたちもなじょすっぺ」とやってみたのですが…それは現地ネイティブにおまかせします。ネット上にも和訳がいろいろありますが、言葉を探しきるまえに別の耳障りのいい語で埋めてしまったケース、新聞調で子守歌カテゴリからずれているケースがありました。これはぎりぎりまでねばってみたつもりです。

楽譜と詩はキャロリング当日にお渡ししますからプリントアウトしなくて大丈夫ですよ。

実費以外は国境なき医師団に寄付します。

キャロリングお申し込みはこちら。


Coventry Carol (日本語は下)
Lully, lulla, thou little tiny Child,
By by, lully lullay, thou little tiny Child,
By, by, lully lullay

O sisters, too,
How may we do
For to preserve this day
This poor youngling,
For whom we do sing
By by, lully lullay?

Herod, the King, in his raging
Charged he hath this day
His men of might,
In his own sight,
All young children to slay

Then woe is me,
Poor Child, for thee
And ever morn and day,
For thy parting,
Neither say nor sing
By by, lully lullay!

ねんねこ、ちいさなおさな子よ
ねんねんころりよ、ちいさな子
ねんねんころりよ、おころりよ

姉さまたちも、
何としょう
この日いちにち守るには
このかわいそうな幼子を
この子のために私ら歌う
ねんねんころりよ、おころりよ

ヘロデの王さま、怒りにまみれ
この日命じた、
つわものどもに、
見える限りの
幼子殺せと

憂い哀しむこの私
哀れ幼子、おまえを思い
その旅立ちは
語りも歌もないままに
ねんねんころりよ、おころりよ

 

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