fish, sheepはなぜ「単複同形」?立川志の春さんのブログをヒントに

こんにちは。持続可能な将来のための通訳者、通訳道場修練長の冠木友紀子です。

日本語・英語とも聞きほれて笑い転げる落語家の立川志の春さん。通訳道場でも通訳の理想として折々に学ばせていただいています。そんな志の春さんがブログで猫ちゃん英会話ビデオと合わせて英語の複数形の謎を取り上げていらっしゃいました。

fish, salmon, trout, sheep, deer, reindeerはなぜ1匹でも沢山いても同じ形?

これはずばり、スイミー現象です。なんだかいっぱいいるけれど、何匹いるのかわからない。一匹ずつの個の輪郭がぼんやりしている。「みんなで1つ」そんなふうに英語を昔に形づくった人たちは感じたのでしょうね。

高低のゆるやかなイギリスの川は藻や土の色を帯びてゆったり流れていきます。ここにマスの群れが背びれをちらりちらり光らせて泳いで行くと、鱒スイミー。森の中をひっそりと駆けてゆく鹿の群れも(しっぽの白い毛が後ろの鹿には「こっちだよ」の印だとか)鹿スイミー。緑の丘を犬にわんわん言われながらゆったり移動する羊たちも羊スイミー。

レオン・レオーニ作「スイミー」より

単「複」同形というより、団体単位という感じでしょうか。

えー、変なの!という声が聞こえてきそうです。

登別の熊さんは鮭を一匹ずつしかと狙っているかもしれません。サンタさんはそりを引くトナカイが何頭か、おかまいなしのはずはありません。羊の多くは個の輪郭があいまいかもしれませんが、メアリさんの羊はご主人と離れがたく牧場ではなく学校にお出ましです。

ごもっとも。

言葉の基本ルールはひとの「ものの見方、感じ方」をあらわします。時と場合によって変わります。bonitoカツオも辞書をひけば、「複 bonitos、集合的 bonito」なんて書いてあって、こんなのいっぺんい見たら、学生さんは「だからどっちなんだ?!」といやになってしまうでしょう。

コツは文化、風土の違いを楽しむこと、ありありと情景を思い浮かべること。

土佐の一本釣りの漁師さんが、「おおっ、息つく間もなく3匹続けてかかったぞ!」というときはthree bonitoSと感じています。でも、じゃんじゃん採り続けてもう何匹とったか数えているどころでなく…港に帰って船倉をながめて「大漁だ!」というときはa big catch of bonitoと感じています。

さて、人間が個の輪郭を失って、団体扱いとなるのは…くわばら、くわばら。

通訳道場★横浜CATS 朝稽古やってます

Please follow and like us:
error

HomeとHouseの違いは?

こんにちは!持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

Stay home とStay at homeの違いについて昨日ブログに書いたら、こんどはhomeとhouseについてコメントをいただきました。

よく学校で習いますね、
home;居場所、故郷、本拠地 つまり心のあるところ
house;住宅

今は確かにそうです。だから野球場やサッカー場が家の形をしてなくても本拠地はホームと言いますね。「埴生の宿Home Sweet Home」なんていう歌もありいます。ちなみにマイホームは和製英語です。(そうそう、ホームではなくホーウムのほうが実際の音に近いです。日本人は二重母音を長母音に変えるよろしくない癖があります。)

織田裕二さんが犬に扮装したCMで、「ハウス!」と命令されて入りうシーンがありました。 織田ワンちゃんはご主人と過ごせるリビングが「ホーウム」。でもなにか悪さをしたと誤解されたようです。「ハウス」で寂しい思いをしながら反省せよ、とのこと。

なんかかわいい!

とはいえ、houseもはじめから物質的な住宅ばかりを差していたわけではありません。古英語husは「神の家」を意味していたんです。意味の変遷は興味深いです。人間の意識の変化が表れます。

さて、住宅展示場で見かける様々なハウスメーカーはどう名乗っているでしょう。ある住宅公園の場合、ホーム派はタマホーム、三井ホームなど7社。ハウス派は積水ハウスなど2社。ホーム派が多数派です。家というモノを作っているのではなく、人が憩う心の故郷を作るんだ、という気概なのでしょうね。

ん?へーベルハウスHebel HausにセキスイハイムHeim?

これはミススペルではなく、ドイツ語です。いかにもそれぞれhouse, homeに似ていますね。

ただ、Hausは物質的な住宅のみでなく、心の本拠地も意味します。Zuhauseなんていう言葉もあるくらいです。
‘ Ich habe ein schoenes Zuhause. ‘「私には美しい故郷がある。」
英語のhouseが落としてきたニュアンスが残っているようです。

さて、日本語でhomeとhouseは何と言いましょう。「家」の読みは「うち、いえ」ですが、「いえ」の語源は?他には?我が家、おらほ?

外国語を学ぶのは日本語と再会する機会にもなります。外国語が鏡となり、普段、いかに何となく日本語を使っているか思い知るのです。

日本語との再会なし、英語が話せればかっこいい、グローバルなんて思っていると、敗戦国の愚民、根無し草になりますよ。

通訳道場★横浜CATS 朝稽古盛況です。

Please follow and like us:
error

通貨・数字の通訳はどうする?

「億単位の金額が飛び交うと…」(わあ、すごい)
「通貨の計算に戸惑います…」

無理しなさんな。そんなところでかっこつけても仕方がない。

ちょっと才走った通訳嬢がすらりと通訳したつもりで、そのあげく、あとで言った言わないのもめごとになるのが数字、金額。

社内ならまだしも、フリーランスが請け負ったクライアントの案件だったらひとたまりもありません。

F1レーサー、日光いろは坂のバス運転手さんを思いうかべてください。

プロは直線とカーブではスピードを変えるでしょ?

どこでもかまわずすっ飛ばすのがかっこいいと思っているのは自己中心的な初心者です。

私は、数字には通訳メモとは別に大きめのポストイットを使います。先方の現地価格、数量をメモ。これでいい?とメモを先方に確認。換算して日本側に伝えます。それを海外、日本側両者で確認。参加者のどなたかに協力をお願いして、いつの、何についてのメモなのかタイトルを書いていただきます。

みなさん、喜んで協力してくださいますよ。誰もが順調かつ正確なコミュニケーションを望んでいるんですから。それに、人に頼りにされるってうれしいでしょ?

オンライン通訳道場 第5期お申込み受付中!

Please follow and like us:
error

字幕なしで英語映画を見るには

こんにちは。持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

字幕なしで映画が見たいという皆さん。日本語の字幕を読みながら英語聞いてませんか?それじゃいつまで無理。聴覚と視覚の科学から見て無理です。

次の順が理に適っていておススメ。近道でも遠回りでもありません。時間はちょっとかかるので短いビデオでどうぞ。

①先に日本語字幕だけ読んで「イメージ化」する。お耳がお留守になっても気にしない。
②英語字幕にして読む。お耳がお留守になってもまだ気にしない。
③英語字幕を読みながら、聴き取ろうとする。
④再生速度を1.5-2倍にして、2分くらい(人によるけど)聴く。わけわからなくてOK.
⑤いつもの速度で再生。びっくりするほど聴き取れます。

めんどくさい?手間惜しみは己に負ける遠回り。外国語学習は心の道です。

私はドイツ語での通訳に備えて、英語字幕とドイツ語音声で上の方法を実践しています。英語でもドイツ語でも

下のビデオはスーフィーのとんち話の人気者、ナスルディンのお話です。②から始められる方は英語字幕を出してごらんください。日本語字幕は自動翻訳でちょっと変ですが、歯車印で自動翻訳を日本語にすれば出てきます。まあ、お手元にお気に入りのDVDがあれば、そちらでどうぞ。

休校中の日本の中高生のための期間限定オンライン無料通訳道場はこちら

Please follow and like us:
error

魂のこよみ、再出発

なんと前回の投稿はほぼ1か月前ではありませんか!

ありがたいことに、この1か月はてんてこ舞いでした。スマホからログインを試みたもののどうも目が疲れるばかり。手書き原稿ばかりたまっております。

その間、台風、大雨が続き…被害には心が痛みます。台風19号接近時、私は福島の浜通りにいました。夜中もTVニュースを消す気になれず、浜通りの河川、ついには阿武隈川の堤防が決壊する様子を呆然と眺めるばかりでした。

台風の巨大化には海面温度上昇が関係しているといいます。もう純粋な天災などないのかもしれません。

シュタイナーは「自分を知りたければ、世界をよく見てごらん。世界を知りたかったら、自分の内をよく見てごらん。」という内容のことを言っています。

激しい気象は私たちの心のうちの何を示そうとしているのでしょうか。

第30週

私の魂の陽光のうちに
思考の実りが熟れゆく。
自意識の確かさへと
変容してゆくあらゆる感情。
私は喜びにあふれ知覚する、
秋に魂が目覚めるのを。
冬は私のうちに
魂の夏を呼び覚ます。

Es spriessen mir im  Seelensonnenlicht
Des Denkens reife Früchte,
In Selbstbewusstseins Sicherheit
Verwandelt alles Fühlen sich.
Empfinden kann ich freudevoll
Des Herbstes Geisterwachen:
Der Winter wird in mir
Den Seelensommer wecken.

Please follow and like us:
error

シュタイナー「魂のこよみ」に通訳者も困った!

今週の「魂のこよみ」の詩には参りました。ひとつ、らちが明かないことがあったのです。3行目の’empfind’です。 ‘ich’が主語なら ’empfinde’とEが最後につくのでは?つかないのってどんな形?接続法?いや、違う。なにこれ ?!

そこでシュタイナー教育の自然科学教育に詳しくてご著書も多い森章吾さんにお訊ねしました。森さんとはIPMTという医療者限定のアントロポゾフィー医療研修で、幸運にも通訳仲間としてご一緒させていただいたご縁です。

びっくりするほどすぐに届いたお返事には、たぶん韻律の関係ではないか、とのこと。たぶん、の部分は私が調べてご報告差し上げることにしました。

あ…!

ロンドン、緑の木陰で深呼吸

それ、英詩でもあります!文字より音声が優先するのです。 たとえば、シェイクスピアの「As You Like It お気に召すまま」では貴族アミアンスが人々と声を合わせてUnder the Greenwood Treeを歌う場面があります。

Who doth ambition shun,
欲を振り捨てて
And loves to live i’ th’ sun,
太陽のもとに暮らしたいひと(ここにおいで…)

おおすごい。in the sunが i’ th’ sun。 でもアポストロフィがあるからすぐわかる。シュタイナーはどうしてアポストロフィをつけなかったのでしょう?

さて、くだんの詩はこちらです。

 Ich fühle fruchtend fremde Macht 
Sich stärkend mir mich selbst verleihn,
Den Keim empfind ich reifend
Und Ahnung lichtvoll weben
Im Innern an der Selbstheit Macht.

私は感じる、実りゆく未知の力が
勢いづき、私に私自身を授けるのを
私は覚る、その種が熟し
予感が明かにきらめくのを
心の内に、みずからの力に依って。

詩の翻訳は終わりのない旅です。私はイメージの順を守ったり、語源のしぐさを活かしたりするのは得意です。でも、ここにこうして書いても、私の中では終わっていません。ことに、シュタイナーの詩の韻律はほぼ弱強のアイアンビックですが、それを日本語に写すことはできていません。できたところで、日本語として奇妙かもしれません。まあ、翻訳はそういう前例ナシの変なことで言語の枠をひろげるという役割もありますが。

ともかく、詩を訳していると豊かな充電時間を過ごせるのは確かです。気分一新して、また数百枚のパワポを自動翻訳したものの編集へと戻ります。

みなさんはどんな充電時間をお過ごしですか?

訳した感まるでなし、セミナー集客を楽にする通訳者★冠木友紀子のプロフィール


Please follow and like us:
error

大学の通訳養成講座、たとえばこんなふうに

縁あって(本当に奇跡のような)、私は大学でも通訳養成の講座を担当しています。何よりの喜びは学生たちとの出会い。20歳で通訳の勉強なんて、私は考えてもいませんでした。感心することしきりです。

本物で包囲してくれた母校。

ただ、残念なことも…日本の従来型大学教育の構造的、体質的な問題です。たとえば…

  1. 通訳養成講座が「-文学-語学科」に設定されている。
  2. 授業が週1度、1学期で15回しかない。
  3. 再履修ができない。

それがなぜ困るのかというと…

  1. 昨今の文学、語学系学科には高校1年あたりから早々と「苦手」な数学、理科、世界史の学びを離れた人たちがいます。土台となる教養がなければ、いちいち準備に時間がかかります。
  2. 週1の授業でなんとかするには、楽器の習い事式に家での毎日の練習を課すしかありません。ただ、小学生のピアノの練習を自宅で家族が見守るほど単純ではなく…
  3. 学び続けたい学生は聴講扱いになり、単位も成績もでません。剣道のような稽古にならんのです。

そこで、大学生のためには、こんなふうにできたらいいと思っています。

  1. 通訳養成講座は文学、語学系学科所属ではなく、リベラルアーツのカレッジワイド・プログラムとして文学、語学系教員を中心としながら、社会科学、自然科学の教員のサポートを求める。また、理科、社会がお留守な学生は学習まんがで自習する。
  2. ICUのようにすべての授業を最低週3限とする(無理だ)。あるいは、学期中ではなく長期休暇中の集中授業とする。これで感覚が変わる体験も可能になる。
  3. 上記、集中授業を複数大学で共催、共有。教室だけでなく、学外でも奉仕体験を積む。何度でも参加できるようにする。

まあ、言い出しっぺには責任がありますね。通訳道場で学生部も持てたらいいのですが、さてどうしましょう。お知恵を貸してくださいな、とくに現役学生諸君。

持続可能な社会のための通訳者・通訳トレーナー 冠木友紀子のプロフィール

Please follow and like us:
error

海外講師のパワポが英語で困ったときは

お久しぶりです。ヨーロッパ出張通訳の後はまるで休みなし。英語落語集中ワークショップもあり、楽しいながらもさすがにちょっとくたびれて、なかなか更新できずにいました。

でも、今日は書かずにおれません。まだこんなことで困っている人がいるなんて!

友人が参加した海外講師の割とお高いセミナー、通訳はいたけれど関係者でプロではなく、パワポは英語のままだったそうです。えええー、まさか?

「通訳をきけばわかるでしょ。」
「みんな、英語読めるから大丈夫でしょ。」
「翻訳に出しているお金ないし。」

心の底から参加者の喜びを願っていたら、こんな言い訳は出ないものです。
本当に参加者に「しょうがないね」と言わせたくなかったら、「さすがだね」と言ってほしかったら、何とか方法を探すものです、見つけるものです。

私が通訳しているセミナーはすべてスライドも日本語を用意します。参加する皆さんを快適にして、自由に考えることを楽しんで欲しいから。

なぜ、ここに洗濯機が…?あとのお楽しみ

で、私が1から翻訳しているかって?―No.

音声情報を扱う通訳に比べてフォント(手書きでさえない)情報による翻訳は情報量がけた違いに少ないのです。自動翻訳もすすんでいます。

私が使っているのはマイクロソフトのPresentation Translatorというパワポのアドイン。一瞬で翻訳されたコピーのパワポを作ってくれます。グーグルにファイルを放り込むとか、コピペするとか、そんなお手間もいりません。

Presentation Translator ダウンロードはこちらから

アドイン翻訳の出来栄えは70点。これを110点まで持って行くのが私の日本語力や知識の出番です。0点から70点まで持って行くのはアドインさんのほうが私よりずっと速い。でもアドインさんは110点にはできない。うまいことコンビを組んでいるわけです。 それもこれも参加者の皆さんに驚き、喜んでほしいから。

自動翻訳のおかげで人より早く、うまく、大量に安く仕上がれば怒る人は誰も居ません。

セミナー主催者の方が、すでにアドインで日本語訳したファイル作成し、通訳者にもとのファイルと比べて直してもらえばさらにお安く済むかもしれません。そのお金もなければ、アドイン訳を当日表示し、通訳者さんのちゃんとした訳を聞いて、アドインの変な訳はみんなで笑えばよいのです。

翻訳は洗濯に似ています。なんでもかんでも人力でやるのは桃太郎のお婆さんと一緒。川で洗濯板ですよ。皆さん、お家でも洗濯機、あるいは乾燥機までお使いでしょう?そしてものによって洗剤や洗い方も変えるでしょう?干すときに形を整えることに気をつかうでしょう?

それと同じです。カシミヤのセーターにはやさしい手洗いが必要、臭い剣道着はコインランドリーへ。それぞれに最適な方法が最善の仕上がりにつながるのです。

通訳道場★横浜CATS 朝活盛況です









Please follow and like us:
error

「医療・農業・教育」を通訳するなんてブレている?

なぜ持続可能な「医療・農業・教育」を通訳するんですか?違う分野でしょう?通訳さんは文系、語学系でしょう?ブレブレじゃないですか?

おお、よくぞ訊いてくれました。この時代、そう思う方は多いようです。

小さい頃から田舎育ちの私には、なんとなく想像がついたのです。この3つは、かつて教会やお寺に司られ、緩やかに連携しながら、牽制し合っていたのだと。

子どもが具合を悪くすれば、まずたっぷり寝かせる。年よりは死期をさとり、身内の者を呼び寄せて辞世の感謝をする。症状が悪くなってからそれを叩く強い薬をのむのではなく、元気なうちから自己治癒力を励ます薬草茶を飲む。新鮮な野菜を安く買おうとするより、庭で野菜を育てる。子ども達は勉強で点数競争するのではなく、他者を手伝うために頭をひねる。いつも景色のどこかにお寺や修道院が見えている。

神の退却と共に、いまやこれら3つが不安を煽る金儲けの暴走エンジンとなり人としての倫を超えたと思う場面もしばしばです。

ただ、それぞれの領域が単体になって、単純化したかと思うとその逆で。異常に込み入って見えるのです。まるで干物の鯵をバラしたようです。だから近代医療、近代農業、近代教育はそれぞれ単体でひとつの領域に見えるのかもしれません。

でもオーガニックな医療・農業・教育は生きた鯵のよう。泳ぐ姿には波の動き、鯵の体感まで共感できるよう。共通点が多いのです。生命プロセスが透けて見えるのです。

生命プロセスを感じる。これぞリベラルアーツ。

そのことに、はじめて満面の笑みで共感してくださる方に出会えました。ドイツのバイオマスボイラー関連企業のCEOの方です。

ボイラーも生きものですね、プロセスがありますね、というとニッコリ。「いままで通訳者から聞いた中でもっとも○○なコメントだ。もう安心だ。」と。

よかった、よかった。

ところで、ブレているかどうかって、見る側の視点の深さ、視野の幅広さにもよりますよね。なので私は天智神明から見れば常にブレていると思っています。他人をブレているなんて上から目線で責めるつもりはありません。

持続可能な医療・農業・教育のための通訳者
冠木友紀子のプロフィール

Please follow and like us:
error

通訳養成の参考にするはずが、「横浜にぎわい寄席」でやらかしました。

前座から真打まで落語を聞いているとき、私は笑っていても結構まじめなんです。通訳のルーブリックを考えたりしているから。

でも、色物(落語と落語の間に入る漫談、奇術などの芸)の時間って気が緩むんだなあ。

この日の寄席を選んだのは色物が紙切りの林家楽一師匠だったから。驚きの芸を何度も拝見していて、そりゃもう楽しみでした。 振り返ってみれば、私ははじめからただおとなしく眺めて帰って来るつもりではなかったような気もします…。

楽一師匠がごあいさつと同時に一枚切り終えると、それを見て観衆が歓声を挙げました。「さあ、ご要望に応えてお切りします」と師匠。

「ベイブリッジ」と男性の声。おおー、横浜らしいね、という客席の空気。すぐにベイブリッジと、それを横浜港から眺める着物姿の二人が現れました。おおー、とまた歓声。師匠はにっこり。

「さ、ご要望をどうぞ。さあ。」

「エンジェル」「大黒さま」

気がついたら私の声。「トランプ大統領と金正恩委員長。」

私の声はよく通ります。通訳でも発声をトレーニングしていますから。ふつうのおじさんおばさんの声とはだいぶ違う響き方をするんです。

その声で「トランプ大統領と金正恩委員長。」

一瞬、客席はシーンとして、すぐにワハハ、クスクス。

師匠は「じゃ、エンジェルいきましょうかね。」え…。しばらくするとエンジェルはいつもどおりの大成功。あら…次は…トランプさんは…だめなのかしら。

「次。えっと、なんでしたっけ?トランプさんと…?あ、金正恩さんね。」

やった!

そして現れたのがこちら。素晴らしい!ベトナムでの第2回会談の様子だそう。手をとりながらもテーブルの下では足を蹴り合っているところ。

なんてそっくりなフォルム!なんてあたたかい!

「責任取って持って帰ってください」と師匠に言われましたが、もちろん、喜んでいただきました。

なんだか、あの二人も紙切りにかかるとこんなにかわいくなるんですね。

このあとは大黒さん。

ふと、師匠のものごとの並べ方の絶妙さに興味をもちました。エンジェルを切りながら、この2人を段取りつけていたのかしら…エンジェル、トランプさん&金正恩さん、大黒さまっていう順番は絶妙です。エンジェルは「トランプさんはどうするんだろう」とドキドキして待つ時間としてちょうどよく、最後が大黒さまだとホッとする。

複数のリクエストが聴こえた瞬間に最適な順番も探っておいでなのでしょう。

プロにチャレンジするとはっとさせれられます。これを励みに、私はダジャレの通訳に精進することを誓います。

通訳道場★横浜CATS 第5期

Please follow and like us:
error