イギリス好きなら訪れてほしい、横浜のもうひとつの外人墓地

持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。

ご存知ですか?横浜には2つ外人墓地があります。

え?山手は有名だけれど、もうひとつはどこ?

保土ヶ谷は狩場の丘の上、巨木の森深くに「英連邦戦死者墓地」はあります。ここにはイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、パキスタン、オランダの戦死者の方々2000名近くが眠ります。

なぜ、ここに?なぜ、こんなに沢山の方が?

世界中でいろいろなことをやらかした大英帝国は戦没者を亡くなった現地で埋葬する方針をとりました。遺骨を祖国の遺族のもとに戻すのはとても大変ですから。

ということは、この方たちは日本で…?

美しい墓石の享年は17歳、19歳、…胸つぶれる思いがします。

そうです。

日本軍の捕虜となった英連邦の兵士たちは日本に連行されました。「生きて虜囚の辱めを受けず」と唱導した日本軍が捕虜に関するハーグ、ジュネーブ協定を守るはずもありません。捕虜たちは人間以下の扱いを受けたのです。彼らは大船、鶴見、函館など各地の工場で強制労働に就かされ、体調を崩し、充分な栄養と医療を与えられることなく亡くなりました。

同じような捕虜虐待はタイとミャンマーをつなぐ泰緬鉄道の突貫工事でも起こり、2万人ほどの英連邦の方々、8万人ほどのアジア人労務者が亡くなっています。

このことに居てもたってもいられなくなった「クワイ河に虹をかけた男」永瀬隆さん、青学の雨宮剛先生、ICUの斎藤和明先生が、英連邦戦死者墓地で初めての追悼礼拝を始めたのは1995年のこと。今年も新コロ感染予防に必要なことをしたうえで、8月1日11時から礼拝が行われます。各大使館からも大使館付武官の方々が7名も参加してくださいます。私もインド大使館の方の締めのスピーチを通訳します。当然のことながら原稿ナシなのでいつもどおり準備します。

インド大使館のボーズさんの通訳をしています。

イギリス大好きだけれど、新コロ騒動で行けないわ、という皆さん、横浜の英連邦戦死者墓地での追悼礼拝にぜひお出かけください。次に渡英するときのよい準備にもなることでしょう。

横浜 英連邦戦没捕虜追悼礼拝 8月1日 11時 詳細とお申し込みはこちらから

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同時通訳は神業じゃない?!

「同時通訳って大変でしょ。語順が違うのに大変よね。神業だわ。」

ニヤリ。そういうことにしておきましょう。

実は、私にはそんなことないのです。何も私だけが特別なことをしているわけでも特別なセンスがあるわけでもありません。

ただ、シンプルな原則を尊重しているだけです。

「ひとは思いついた順に声に出す。声は時に逆らわない。」
たったこれだけのこと。

だって…「さきに浮かんだイメージを取っておいて、あとから浮かんだイメージを先に言って最後に先に思いついたイメージを付け足す」なんて読むだけでも面倒なこと、とっさにしていると思います?

私には無理。

イギリスに伝わるとあるお話のはじまりで試してみましょう。仮にイメージごとに番号を振ります。

There was once a ①farmer ②on his way to ③sell his horse ④at Cambridge market. He ⑤had risen early and set out ⑥when the flat fields were till clagged with cold mist. But as he ⑦climbed the road ⑧where it ran steep ⑨over the hill at Grantchester, ⑩the sun rose too, ⑪broadening the day.

【ひっくり返し訳例】むかしむかし、農夫がケンブリッジに市が立つ日に雌馬を売りに行きました。農夫は、まだ夜明け前の朝霧が平原をしっかり包み込んでいるうちに家を出ましたが、グランチェスターを過ぎ、丘へ向かって坂道を上るころには、太陽も登り夜が明けました。

これでは①④③②⑥⑤⑨⑦⑩⑪。原文が特に強調しているわけではない「夜明け前」と「日の出の後」の対比を強調しているようにも聞こえます。

これでも中高の英文和訳ならマルが貰えてしまう。

それが悪循環の始まり。

翻訳だってこんなもんだろうと思ってしまう。読みにくい訳文が世の中にあふれる。世間も翻訳はそんなもんだ、仕方ないと思い込む。残念!

【なるべく順番通り訳例】むかし、とある農夫が雌馬を売ろうと向かっていたのはケンブリッジの市。早起きして家を出たとき、平原はまだしっかりと冷たいもやに包み込まれていました。けれどのぼり坂が急になりグランチェスターの丘を越えるころ、日が昇り、朝の光が広がったのです。

こちらは①③②④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪ 時間の流れのとおりです。書き言葉っぽさが残っていますが、落語調にしたらもっと流れのとおりでしょう。

人間はイメージが浮かんだ順に声にする。イメージの順そのものに意味がある。イメージの順を変えるとストーリーが変わる。

ひっくり返し訳を手放せないとしても、そこで終らないでほしい。次はイメージの順訳にチャレンジ、そしてもとの英語に戻ってほしい。そうでないと日本語で別物を理解して終わったことになる。

さて、次のセミナーでは中高生の学習から通訳養成を一本化するヒントをお話しします。「日本の英語教育はおかしな袋小路が多すぎる。もう時間とお金を無駄にせず、しっかり学んで、人の役に立ちたい。」そう願うみなさんをお待ちしています。

9月17日 通訳の先生が語る「英語学習と通訳養成を一本化する学習科学の理論と実践」

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リーズ大学、25年前の宝もの

イギリス北部にあるリーズ大学で英文学を学んでいたのは…なんと25年前のこと。ICUから、そして日本からも初めてのJunior Year Abroad Programme正規の交換留学でした。携帯電話もノートPCもインターネットもない時代。カメラは写ルンですみたいなおもちゃだけ。もちろんメールなんてありません。

なので、こういうことになる。

片づけ本には手紙も捨てるように書いてあるけれど、これは別。

私も同じくらい書いていたはずなのだけれど…少しも忙しいと思わなかった。今やりとりしているメールに比べたら少ないのかもしれませんね。

日本の家族、大学の友人たちからの封書。切手が切り取られているのは寮の友人たちにあげてしまったから。繊細な日本の切手は大人気でした。

ケンブリッジ大学で研究休暇を過ごしていらした西洋古典のK先生と同じ時期に滞英できたのは本当に恵まれたこと。そしてギリシャでも有名なICU名物、西洋古典スタディツアーにイギリスから参加できたのも幸運でした。

リーズ大学の学生どうしの連絡もメモ、カードでした。たとえば「木曜、お昼一緒にいかが?学食の奥のほうにいます。How about having lunch together coming Thursday? Find me in the back of the refectory.」のように。今ならメールでしょうね。

クリスマス、バレンタイン(日本のように女性が男性にチョコを贈るのではなく、友人に友情を感謝する日)にはカード交換で寮の郵便受けはパンク寸前。

LINEいじめなんて???想像もつかない時代。

 卒業までリーズに残ったスペイン、イタリア、シンガポール、マレーシアの友人たち。交換留学が終わって帰国したアメリカ、フランスの友人たち。その後もしばらくやりとりは続きました。それでも名前や住所が変わっていつのまにかやりとりは減ってしまって…。

どうしているかしら。そうだ、FBで探してみよう。

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「英語はスペリングと発音が違いすぎます!」そうかな?

「英語ってなんでスペリングと発音が違いすぎます!」

―あー、中高生も必ずそれ言うけれど、あなたもそう思うのね。たとえば?

「こんなの見つけました。 “A rough-coated, dough-faced, thoughtful ploughman strode through the streets of Scarborough; after falling into a slough, he coughed and hiccoughed.” ghの発音、いろいろありすぎです!発音どころかthrouGHなんて黙り込んじゃってお化けです。」

―お化け、いいねえ。イギリスはお化けだらけ。

実はね、みんなが思う以上に実はスペリングの通りに読んでいるんじゃないか、と思ってる。アメリカではCoke “Lite”って普通でしょ?でもイギリスでは眉を顰める人が何人もいてね。アメリカ式が嫌いというわけじゃないの。何となく気持ち悪いんだって。

で、ウェールズの友人とウェールズ語のこと色々話していたときにヒント発見。あ、ウェールズ語はね、一見つづりが奇天烈だけれど古い言語の特徴が残っていて、子音にも母音のやわらかさが残っている言語。で、ウェールズ語の「ありがとう」は”diolch”ディオッホみたいな音。

ウェールズ、スノードニアにて、2011年

私が「あら、Lはどこいっちゃったの?発音しないの?」と尋ねると、友人はなぜか天井をにらんで何度かdiolch, diolch, diolchと繰り返し…「ちゃんと言ってるわよ」と。

耳を澄ますと…あ!言ってる。音にはなっていないけれど息で言っている!声になる前に消えてしまっているけれど、確かに息で言っている。

そう思ってlightを聴いてみると…ghのタイミングで確かに息のかけらが聞こえる!息だけでghをひっかけてるような。liteだと、iのところはべたっと母音のみ。日本人発音によくあるけど、なんだか「らしくない」。

そうやって息に耳をすませてみるとbeautiful だってbūtifulとは違ってる。

そんなこと辞書に書いてない?そりゃ無理もない。あれは発「音」記号なので「息」は書いていない。でも人の声には「音と息」がある。

息なんか聞こえない?

確かにいきなりでは無理。でも慣れれば聞こえてくる。自分でも言えるようになる。自然になる。

同じヴァイオリンの曲を聴いても、弓の返しが聴いてわかるひとと、そうでないひとがいる。ひたすら聴いて、自分でもひたすら弾くと、弓の返しが呼吸のように聞こえてくる。

ひたすら聴き、ひたすら弾けばいい。

あなたの英語も同じこと。自分で夢中になれる題材を選んでやってみたら。

このコの響きを聞いたとき、私だ!と感じました。

ふと気になるのが日本語の音。平安時代から表記と発音はずれていた、と聞いたことがあるけれど、どうやって調べたのかしら。

「たまふ」と「たもう」は口、息のしぐさが違うのでは。(おお、英語でもautumnってある。)

わかりやすさを優先するあまり、もともとあったものがないことにされているのでは…
面倒くさがって昔の音質よくないCDみたいなものを歓迎しているのでは…
それが私たちの言葉への感覚、耳と頭をなまらせているのでは…

お化けと一緒にちょっと心配してる。

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1月6日まではクリスマス。商業的でも騒いでもいい、ただ…

みなさん、クリスマスはいかがお過ごしですか?明日から16日あたりまでずっとクリスマスですからね、ここいらでくたびれていてはいけませんよ。

えっ、昨日、今日で散財してしまった?
なるほど初もうでのお賽銭はしょぼいわけだ。

日本では「クリスマスが商業的すぎる!」との批判の声を耳にします。中高生のころの私もそうでした。毎朝讃美歌、説教、祈り、讃美歌からなるきちんとした礼拝で1日を始めていたのですから、骨身に沁みていました…「なんにも知らない人たちはみっともないわね」と思っていた…青かった。

あのねえ、クリスマスに辛気臭い顔しててもしょうがないでしょ!
めでたく騒いでいいんですよ。


だいたい明治のキリシタン禁令解除以降クリスマスが入ってきたころには、欧米のクリスマスはすでによっぽど商業化していました。

昼3時過ぎにはなんだか暗くなるイギリスだって夜までこのとおり。
INPP関係でよく行くチェスターのクリスマスマーケット。まあ、程よい暗さですが。

 

 

そもそもイエスの母子手帳にお誕生日1225日と書いてあるわけではありません。

3世紀、クリスマスをいつにするかは大議論の的でした。520日、418日か19日、525日、12日、1117日、1120日なども候補に挙がっていたのです。

どなたか当たった方は…?あら、うちの親戚3人も当たってる。もとになる暦が違いますが。

1225日なったのはローマ暦の冬至だから、とか春分から9か月でちょうどいい、とか異教の太陽の祭り、とかいろいろな説があります。

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ストックホルム近郊、イエルナの共同体。バイオダイナミック農場の土壌はびろうどのよう。リンゴも来年の土壌に。

決めた理由はいろいろでしょうが、受け入れられた理由は「異教の太陽の祭り」が腑に落ちます。異教というのは何とも上から目線な訳語です。私は人びとの感覚に沿うものになった、と思うことにしています。

北半球の人たちにとって冬至とその次の日の昼の長さの違いは、425日と26日の違いよりありありと感じられたことでしょう。ああまた暖かい春が来る!生き延びられそうだ!という喜びでいっぱいになったことでしょう。

それは理屈でなく、ハラで感じる喜びだったはず。

このハラの感覚が予熱となっているところに、すべてのヘマを何事もなかったかのようにしてくれるというイエスの誕生が重なったら…そりゃ自然にうまくいくでしょう。

さて、身も蓋もないようですが…めでたく騒いで散財した後は2つ気に留めてほしいことがあります。

  1. 1回目のクリスマスの前は「いつまで待てばよいのか知りようもないまま待つしかなかった」時間であったこと。そういう時間は永遠の長さに感じられます。こんな待ち方は最近あまりきかなくなりました。
  2. 光の復活(おとずれ)=命の復活(あらわれ)ではないこと。命の復活=芽吹きにはなお3か月あまりかかります。その間目に見えぬ土壌の中はなかなか忙しいのです。そんなにインスタントじゃないのよ。なにごとも前触れ、本番と二段構え。

こんな話もしているから忙しんだわね。

ご関心おありの方はお気軽にご連絡ください。道場見学はお断りしていますが、おひとりずつお話伺っています。

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